第4話 生き物をモデリングしよう!

 ……………。


 あれだけ可愛がっていた大きな生き物たちが、またもやほとんど全滅してしまった。


 今回はちゃんと目を離さずに見ていたのだが、氷河期が訪れそして温暖化、ということが何度も何度も繰り返し起こった。


 数回なら神の力でなんとでも出来るのだが、まだポイントがあまり貯まっていない今、その全てに対応していたらジリジリと減っていってしまう。


 生物達が気候の変動に適応するという希望にかけたが、大きな変化が何度も短期間で起こると、さすがに適応しきれずに絶滅してしまった。


 正直かなり落ち込んでしまっている。とはいっても俺がやっていたこと自体は間違いはないと思うので、根気強くやり直すしかない。


 端的に言ってしまえば今回は運が悪かったのだ。恐らく他の神もこんな経験を何度もしながら生命や文明を発展させて行っているのだろう。


 それに全ての生命が絶滅した訳では無い。温度変化に耐えきれなかったのは基本的には体の大きな生物達で、最初に生み出したような生物はもちろんある程度の多細胞生物はまだまだ残っている。


 今はもう大きな気候変動は落ち着いて、しばらく安定した時期が続きそうだ。まぁゆっくり進めていくしかない。じっくり色んな種を増やしていくとしますか。




 あれから5000年ほどたった。正直自分でも驚いている。なんと、生き物達が数万、それ以上に爆発的に増えていっているのだ。


 もう数え切れないくらいの種族が誕生している。自分でも不思議なくらい増えていて不気味なくらいだ。


 実は前回の絶滅の少し前くらいに、あるシステムを導入していた。これまた最上位神様が開発したもので、宇宙と惑星の過去のログを見れるシステムだ。これを使ってちょっと歴史を見直してみよう。


 うーん。何度見ても辛いが前回の絶滅は酷いものだったな。大きすぎる気温の変化に耐えきれなくなった生き物たちがどんどん死んでいっている。


 この子達はいまごろ、土砂に飲み込まれて綺麗な化石になってしまっていっているだろう。


 そうそうこの後、俺はめげずにもう一度少しずつ

進化をさせ始めた。しかしこの頃から前回よりも増え方が明らかに早いような気がする。


 特に、絶滅が起こるまでなかなか進化できていなかったような種がより増えている。


 恐らく、それまでいた種族が天敵になっていて繁栄できていなかったような生き物達が大量絶滅のおかげで、逆に爆発的に繁栄していったということだ。


 それに加えてこの時、大陸に大きな変動が起こっていた。大陸が分断されて、それぞれ別の環境で枝分かれするように別々に進化していっているな。


 その後、分裂した大陸がまた移動し衝突した時に衝突の場では生物達が再び合わさっている。ん?この時にとてつもなく増えていたのか!


 それぞれ別々に進化した種達が合わさることによって、何通りもの組み合わせができて爆発的に増えていたんだろう!大量絶滅が起きたときはどうなるかと思っていたが、結果的にかなりいい流れに繋がったな。


 種類でいうと前までは骨がない軟体生物ばかりだったが、色んな種族が増えた。背骨があって構造がしっかりしている脊椎動物も誕生していた。他の星ではこの脊椎動物から知能のある種族が生まれていたな。俺もこの子達を育ててみようか。


 神の力のひとつとして、生き物の姿かたちをモデリングしどんな風に行動するかという生態を設定して新たな種を生み出すことができる。


 もちろん物理的に明らかに不可能なものは作れないし、あまりにも環境に不適合なものだとすぐに絶滅してしまう。


 それに何も無いところから生み出すのは難しく、その分大量の神ポイントを消費してしまう。単細胞生物でさえそこそこ大変だったのに複雑な生き物を好き放題つくっていたらすぐにポイントが尽きてしまう。


 そのため新しく作る種族は、基本的に今いる種族の性質に近いものを作っていくことになる。


 ということで、今回は今いるちっこい脊椎動物に近い”魚”をモデリングしてつくろうと思う。かなり神っぽい感じになってきたな。


 ただ、ガイドによると必要な神ポイントをちょくちょく確かめながら作らないといけないのは、少し難しいらしい。


 まずはコンセプトを決めよう。うーん、速く動けるようなのがいいな。なるべく今居ないような特徴で長いこと生き残っていけるような生き物を作りたいな。


 ある程度大きさがあって危険を感じたら素早く水の中を動けるフォルム。もう既にいるでっかいオウムガイがヤバそうなのでそれから逃げられるようにしてあげたい。


 それから、肉食なら肉を噛みちぎる歯があったらいいな。骨と同じようにカルシウムとかで作れそうだ。


 こんなもんでどうだろう。あれ?この形は元の種から離れすぎていてポイントがかかるな。じゃあこんなんはどうだ?うーんこれじゃあ泳ぐのは無理そうだな。じゃあここをこうすれば水の抵抗が……。


 …できあがった。が、しかし見た目がなんとも残念な感じになってしまった。ヒレがなくつるんとした見た目をしていて、クビレのある筒みたいな見た目をしている。


 食性は砂の中にいる小さい生物を砂ごと食って何とか凌いでいる。本当は機敏に動いて狩りをして欲しかったんだが、結局速く泳ぐこともできそうにない…。


 なんだよ、しょうがないだろ!元々の種族がこんな感じなんだから!


 そういえば先輩が初めてつくったらしいアランダスピスという魚もほとんどおなじ見た目と生態で、「これはセンスないなw」と思っていたが色々と苦労があったんだな…。


 何はともあれ初モデリング成功だ。末永く生き残っていって欲しい。…できれば進化を重ねてかっこよくなっておくれ。

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