第1話 神様になろう!

「はい!ありがとうございます!」


 上司から待ちに待っていた連絡が来た。


 俺、神原創は惑星”地水球”の完成を持ってようやく天使から神へと昇格した。


 天使として生まれてから途方もない間、多くの神の元でこき使われながら働いてきた。


 信じられないほど苦しい思いをしていたが、それも今日で終わりだ。


 心のノートに深く記した絶対に許さないと決めているあの神達の名前を思い出しても少しイラッとする程度だ。


 逆らえば存在ごと消されてしまう環境でほとんど休むことも許されず、無茶な指示通りに働く。


 指示を少しでも外れれば罰をくらい、指示以外のことをしてもしなくてもまた罰をくらう。あまつさえ、ただ機嫌が悪いと言うだけであんなことやこんなことをされる。それ以外にも…。


 あれ?だんだんと爆発しそうになってきたぞ。…この話はやめよう。


 少し脱線したが、今日をもって俺は神となった。

神になるには大抵の場合、天使として生まれかなり長い間経験を積む。


 そして宇宙と、生物の生み出せる惑星の完成を成功させることによって神に昇格することが出来る。昇格した後は基本各神に委ねられるが、より強くて多様な種族や文明を発展させることを目的に世界を創造していく。


 たまに俺たちのボス、最上位神ジュソー様やその次に偉い何柱かの神からの依頼があったりする。それを何度も達成していくことでより神としての格が上がっていく。


 逆に失敗ばかりだと格下げをされてしまうらしい。


 最悪天使に逆戻り…。うぅ、考えるだけで恐ろしい。そんなことにならないように気合いを入れていこう。


 どんな世界を作ろうかとても興奮する。どんな生物を生み出そうか、どんな文明を発展させようか。魔法なんかも使えるようにしちゃおうか。


 はたまた、芸術の栄えた世界にしようか。どんな事でも作れるし、発展させられる。俺だけの世界。下っ端の天使の時から歯を食いしばって、この瞬間をずっと夢見ていた。


 そうは言っても、ひとまず生物を生み出さないと始まらない。


 えーと、なになに「誰でも出来る神様初心者ガイド」によると「まずは単細胞生物を生み出します。有機物から”生物の型”を作ります。そこから生命を吹き込みましょう。」


 ふーむ。じゃあまず”生物の型”というのを作ってみよう。


 「有機物をまず作りましょう。それに熱などを上手いこと組み合わせて生物が生まれやすい環境を作ります。環境を整えたあとはひたすら待つのみです。上手く行けばだいたい数億年程度で出来きます。適量を適切なタイミングに組み合わせてください。」


 ……ぼんやりした表現が多いなぁ。しかもできるまで数億年間も。短いとは言えない時間がかかる。…しょうがないが、少しづつ進めていこう。


 …いきなりつまずいた。有機物ってどうやって作るんだ?それくらい教えてくれてもいいだろうに、不親切な本だ。


 そういえば、前働いていた神の所では海の中で色々していた。水によって反応が起こるのかもしれない。海の中で熱のある場所、つまり海底火山の付近に色んな物質を集めておけば何とかなるかも。

 

 ひとまず今ある全ての海底火山付近に色んなものを集めることができた。少し経つと色々できているように見える。お、ガスが何種類か反応してそれっぽいものができた。やったぞこれは有機物だ!


 たぶんこのまま放置しておけば、勝手に組み合わさってそれらしきものが生まれるんだろう。しかしここから何億年も待つのは勿体ない。


 ここは遂に神様になった特権、”神P”の使い時かもしれない。

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