第2話 眼鏡はいつでもかけられています

 眼鏡にとって今日は特別な日となった。

 出来事自体は避けられないことであり、最悪だったのだが。

 ご主人が服を脱ぐとき、勢い余って眼鏡のフレームを折ってしまったのだ。

 そしてそこで一度眼鏡の意識は途切れた。


 再び眼鏡が目を覚ますと、見知らぬ空間に神と名乗る男の前に置かれていた。

 その男の話を要約すると以下の通りだった。


 一つ。

 どうやら眼鏡おれは現世で天寿を迎え、次の世界、異世界へ向かうとの事。


 そしてもう一つ。

 異世界に向かう前に願いを一つ叶えてくれると言うものだった。


 眼鏡は一つの願いを伝えた。


「再びご主人の役に立つ眼鏡になりたい」と。


 再び眼鏡が意識を取り戻すと、見たこと無い世界に懐かしい乗り心地がした。そう、そこはご主人の耳と鼻の上。そしてご主人はあの時と変わらず、一糸纏わぬ姿だった。一つ違うのはそんなご主人の周りをモンスターが囲んでいることだ。


 大丈夫だ。眼鏡おれに任せておけ。


 ここから眼鏡と全裸男の冒険が始まるのだから。



 了

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眼鏡から始まる冒険譚! ろくろわ @sakiyomiroku

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