第3話 紅葉色の左頬
文化祭当日。1-Dの生徒は、教室に入るともれなく驚きの歓声を上げた。この何十色にも彩られた不思議な世界の創造主が市村彩花であると知ると、みな彼女を賞賛した。そして、それまで大して乗り気でなかったやつらも率先して受付や誘導や呼び込みの役を買って出た。俺だって人のことを言えた立場じゃないけど、現金なものだ。
アトラクション自体はしょぼいのでそれほど集客はなかったものの、親子連れからは好評で、教室を訪れた保護者や教師からもお褒めの言葉をいただいた。結果は上々と言っていいだろう。
教室の出し物のほうは十分人手が足りていたので、タイミングを見計らって市村を誘い出し、他クラスの偵察に行った。偵察という名のエスケープである。その後、怖いのは苦手だという市村を無理やりお化け屋敷に連れていき、暗闇で思い切り平手打ちをくらうことになるのだが、あまり詳しく記すのはやめておく。
こうして文化祭という青春の1ページと俺の左頬は、市村彩花によって見事に彩られた。
君色に輝け 文月みつか @natsu73
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
見えない傷跡/文月みつか
★15 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます