少女は恋を騙り、少年は恋を語る

 「付き合ってください。」駅の改札前、長谷川蛍は秋山湊人へ唐突に告白した。そうして付き合うことになったのだが、自分から告白したはずの蛍は湊人に対してどうにも煮え切らない。親友の萩野唯華にツッコまれた彼女は湊人とデートへ行くことにしたのだが……その最中、湊人が涙を流し始めて。ついにふたりが胸に秘めていた真実が明かされる。

 唐突な告白から始まる冒頭はキャッチーで、この後の盛り上がりを予感させるわけですが! 裏切られますよ、いい方向に!

 告白したきり彼氏放置気味な蛍さんとデート中に泣き出す湊人くん、物語が進行してふたりの心情がつまびらかになるにつれ蛍さんの「好き」から始まった物語が思いがけない方向へ転がります。そして辿り着くのですよ、ある意味真逆のエンディングへ。そこでふたりが見せる剥き出しの心情、これが実に読者の心を滅茶苦茶に掻き毟ってくれるわけです!

 思春期ならではな残酷さと切なさを存分に吸収できる、ほろ苦くも瑞々しい恋愛劇です。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)