店内もギャグも冷えてますが、パンだけは焼き立ての熱さをお届けします

 本文開始2行目にして「!!」となるような衝撃が……。と思ったら、ペンギンがトレードマークのパン屋さんでしたか……。『100匹のパン屋』……名前だけで、すぐに軸足を向けてしまいそうになるほど気になる店名ですね。
 ん……? トレードマークと思っていたペンギンは、まんまペンギンなのですか……? 先の展開への期待感が読み進める毎に高まっていきました。分かる。分かります。パン屋に行って目移りするあの感じ。確かに10種類は欲しい、だけど現実的には3個くらいなんですよね。日持ちを考えれば3個くらいが適当ですし、3個も食べたら一食分でお腹が膨れてしまいますしね。パンだけに。
 開店前から行列ができるパン屋さん。10番目はなかなかの好スタートを切れそうです。そして、ドアがOPENに変わりました! 各人一斉にパン屋になだれ込む! これは争奪戦です! とか熱を入れて実況したくなりますが、読んでいる限り、店内は割と平和なのでしょう。エピじゃない方というコミカルなネーミングのパンが並ぶのも素敵なBGMがかかっているのも、良い雰囲気を醸し出していますね。もしかして、暖房が効いておらず、寒いのはパンにとって最適な温度調整をしてるからではないのだろうか……と推理しました。ギャグでアットホーム感を演出しつつも、商品には一切の妥協をしないという店主の心意気の表れではないのでしょうか。
 あ……どうも、コウテイさん。やっぱりペンギンでしたか……ってΣ ゚Д゚≡( /)/エェッ!
 やっぱりまんまペンギンでしたか……。
 ついにペンギンが第二の人類にまで登り詰めるとは。後光がさすペンギンのイメージが脳内で再生されました。そして、語り部の僕もペンギンだったことが判明して……。ギャグが寒くて笑えないのではなく、この素晴らしい世界観に脱帽して、笑えなくなりました。笑えなくなったというよりは感嘆といったほうがしっくりくるでしょうか。まるでパンの生地のように丹念に練り上げられ、パイ生地のように幾重にも折り重なった、そんな素敵な世界観に拍手をお送りさせていただきます。
 ペンギン同士で写真を取り合う素敵な世界……何ですかこの最強癒し空間は……。
 アレルギーに配慮しての卵不使用ではなかったという事実も発覚。発芽玄米党……。あくまでも想像ですが、ロカボ党とかルヴァン党とかいたりするんですかね……。
 かつては人間の食べ物とされていたパンに、どこか嫌悪感を抱いていた僕。しかし、フラットな目線で、否。店主と同じペンギンという目線で見れば、そのペンギンが作ったパンの味が格別なのも頷けますね。鰺フライから南蛮漬けへと変化した食卓も、その味は(鯵)は決して落とさずに、「今回も(その絶品な味付けに)参った!」と僕が毎回口にする日を微笑ましくイメージしていました。