第一話 思い出
テレビの番組は切り替わり、さっきまでかすかに聞こえていた小学生の子達の声も聞こえなくなった。ボーッと鏡に映った自分を見てかれこれ、30分以上経っていたらしい。スマホのホーム画面の時間が変わっていた。なんの気力も起きない。君が死んだあの日から。
そう、「君」、私の唯一心を許せる親友、あおいちゃん。明るくて、美人で、頭がよくて、運動もできて、友達も多くて、、、、私とは正反対の私のあこがれ。クラスで浮いていた私にも声をかけてくれて、たまたま好きな小説が一緒だったことから仲良くなった。私のことを親友だと言ってくれた。でも、三ヶ月前に自殺した。橋から飛び降りたらしい。遺書などがなかったことから自殺の原因は不明。あおいちゃん、、。思い出すと気分がまた落ちた。やめよう。あおいちゃんのことを思い出すのは。もうどうしようもないことだ。
そうだ、久しぶりに外に出よう。自室に閉じこもるから思い出すのだ。三ヶ月前に比べたら色々私の中で整理できている。どうせ、高校にも行っていないのだから今頃外に真っ昼間から出歩くことに罪悪感もなにもない。近くの公園まで行こう。私は着替えて一階のリビングに降りた。両親の姿はない。仕事だな。
玄関に言って少し怖気付いたが、思い切ってドアを開けた。春の匂いがした。
君がくれたスカビオサ 章魚蘭 @yuikoron
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。君がくれたスカビオサの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます