ホルスタイン女子高生とブラックホール 

愛田 猛

ホルスタイン女子高生とブラックホール KAC20245



昼下がりの魔法学園の教室。

今日も、ホルスタイン女子高生であるホル美は、昼食後、よだれを垂らしながら昼寝をしていた。


トレードマークのホルスタイン柄のセーラー服が、巨乳ではちきれそうなのもいつも通り。

ひょんなことから手に入れた枕を机に載せて、惰眠をむさぼるホル美は幸せそうである。


楽しそうにアホ毛も揺れている。


彼女の親友のミノタウロス女子高生のミノ子が、眉をひそめる。

「ホル美、食べてすぐ寝ると牛になるわよ!」

とりあえず言ってみる。


「…え~あたし牛だもの。いいでしょ~」寝ぼけながらホル美が答える。

もっともである。さすがに言い方が悪い。


「お昼寝の時間は幸せよ~いいじゃないの幸せならば。」


なぜかちょっと節をつけるホル美。


「まあ、ホル美の平常運転だからしょうがないわね。」

ミノ子が言う。彼女は茶色いブレザーを着こなしている。


ちなみに、胸部装甲に関しては、ひきしまった筋肉が、スポーツブラにフィットしている、とだけ言っておこう。


「ま、ミノ子はは人畜無害だしね。これで、変なことを考えるブラックホル美じゃあ困るけど。 そうしたらホルスタインじゃなくて黒毛和牛ね。」


「え~黒毛もいいかも~ セーラー服も真っ黒にして、『ブラックホル美、ただいま見参』とか言って。」


「ブラックホル美、ってなんだかブラックホールみたいよね。なんでも吸い込んじゃうやつ。」

ミノ子が笑う。


「え~、なんても吸い込んじゃうの?お掃除に便利かも~。」

ホル美がのんびりと言う。


「あ、ヤギ先生のところに、ブラックホールを作る魔法陣の作り方があったと思うぞ。ちょっと見てくるな~」


横で会話を聞いていたお調子者のケンタウロスのケンタが、そう言って教室を出ていく。


「そんなもの作ってどうするのよ。あいつ、本当に馬鹿よね。」


「あいつは馬だけど、鹿の血は入ってないから、そこんとこよろしく」トナカイ男子のナカイが突っ込む。


「何だか意味が分からないわねえ。」ミノ子が苦笑する。 のどかな昼下がりである。


そこへ、ケンタウロスのケンタが戻ってきた。

「先生いなかったけど、机の上に魔法陣の本があったから借りてきたぜ。」

手には一冊の薄い本が握られて理宇。


「何それ、同人誌?」ミノ子が妙な突っ込みをする。


「意味がわからないけど、まあブラックホールの魔法陣が載ってる。ちょっと出してみようか。」

ケンタが言う。


「ちょっと、やめなさいよ!」真面目なミノ子が止める。


「いいじゃん、ちょっとだけよ~あれ?」

ケンタの魔力では、魔法陣は作動しなかった。


「ああよかった。下手に作動させると危な…」とミノ子が言いかけた時、


「おーい、ザク!ちょっと魔力流してくれ!」

ケンタが、ザトウクジラ男子高校生のザクに声をかけた。


「え~何か知らないけど、いいよ~」体が大きくて、気のいいザトウクジラのザクが魔力を流してしまう。



「ちょっと、ヤバくない?」ミノ子が言った瞬間、



教室の真ん中に、1メートルくらいの黒い球が洗われた。


「やった!成功だ!」ケンタウロスのケンタが喜ぶ。


ブラックホールは、床のゴミだけでなく、椅子や机まで飲み込んで、だんだん大きくなっていく。


「おい、ヤバいぞ。止め方は?」フレイウルフのグフが言う。


「そんなもん知らねえよ。本に書いてあるんじゃないか?」

ケンタが言う。


「もう、アンタたちは…」ミノ子が言いながら、本を手に取ろうとしたが、その瞬間、、本がブラックホールに飲み込まれた。



「まずい!」グフが叫ぶ。


止め方がわからなくなった。


それだけではない。本を撮取ろうとしたミノ子まで、飲み込まれそうになっている。


とっさにホル美は、ミノ子に手を伸ばし、ミノ子は何とかホル美の手をつかんだ。


「ミノ子、絶対手を離さないで!」

ホル美が叫ぶ。



ミノ子が必死でホル美の手を掴んているんるのがわかる。


だが。ミノ子もいつまでもこうしてはいられRない。


「ブラックホールを止めるには…たぶん、ホワイトホールっていうのがあって、それをぶつけるのかな?」ホル美が適当なことを考える。


まあ実は正解なのだ。

ブラックホールは闇魔法の産物。それを打ち消すような白魔法、光魔法などをぶつければ消えるのだ。


ミノ子が叫ぶ。

「誰か、光魔法が白魔法を使って!」


光魔法の使い手としては、ペガサスのペガがいる。 だが、今日はペガは羽の治療で早退してしまった。

ほかに光魔法の使い手はいない。



絶体絶命だ。ミノ子の運命は、風前の灯だ。




















その時、ホル美がミノ子の手をつかんだまま、ブラックホールの前に立ちはだかった。


アホ毛が揺れる。


この大きなブラックホールを前にして、ゆるがない。



そして、ホル美は叫んだ。


「極大乳魔法、ホワイトミルクギャラクシー!」


その直後、白く光る星のような霧が、ブラックホールを包んだ。


星ではない。ミルクの粒だった。



ホル美のとっておきの魔法、極大乳魔法である。これで白いミルクを発生させ、ブラックホールを中和したのだ。



ブラックホールは消え、ミノ子は救われた。



「ホル美、ありがとう!」ミノ子はホル美に抱きついた。


ホル美は、

「うーん、限界」そういって、倒れこんだ。


あの巨乳がぺったんこになっている。



ミノ子を救うため、自分のミルクタンクをすべて放出したのだ。



「ありがとう、ホル美。」ミノ子は、崩れ落ちるホル美を抱きしめ、感謝の言葉を伝える。



「でも、今なら私が勝てるわね。」

ぺったんこになったホル美の胸を身ながら、ミノ子はつぶやいた。


ふと見ると、ホル美のホルスタイン柄のはずが、真っ白になっていた。

「まさか、これは、伝説の聖牛…」


だが、ホル美のよだれを垂らした顔を見て思う。

「そんなこと、ないわよね。」


ミノ子は、ホル美を抱きかかえて机に向かい、ホル美の枕を出して、ホル美の頭を乗せる。

(こんなことしかできないけど、あなたにはいつも感謝しているわ。」


ホル美は、よだれを垂らして眠り続ける。



数日後。

ホル美は、元の白黒ホルスタイン柄に戻り、巨乳も戻った。

それを見て、ちょっと残念に思ったミノ子であった。


かくして、魔法学園の平和は守られた。










===

何とか、ホル美の話を書けました。

忙しいわけじゃなくて怠けてたんです(笑)。

いや、やっぱり忙しかったことにしておきましょう。


お読みいただき、ありがとうございました。

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特に短編の場合、大体が一期一会です。


袖すりあうも他生の縁。

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…もちろん私が最初に幸せになるんですけどね(笑)。



















ミノ子、ホル美の聖牛のことは誰にも話さないで!

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ホルスタイン女子高生とブラックホール  愛田 猛 @takaida1

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