第41話 エピローグ

 第二回おっさんSCレディースU15セレクションから翌年。

 関東かんとうリーグ女子U15後期第二節こうきだいにせつ


 対戦相手たいせんあいては『どうする日光レディースアカデミーU15』一部八チーム中第八位。

 おっさんSCレディースU15は現在、一部八チーム中第三位。


 先週、後期第一節こうきだいいっせつの試合で中三の正GKが負傷ふしょうし、今日の試合に出場できず。

 さらに中二のGKもリハビリ中でムリ。

 中一にもGKがいるんだけど、なぜかナナに出場の指示が出たの。


 公式戦初出場。こんなに早く出してもらえるなんてゆめにも思わなかった。

 GKコーチの指示のもと、アップをはじめる。

 コーチのシュート練習でボールを受けたの。


 アンブロのキーパーグローブでボールのかんしょくを確かめる。

 オーケー、だいじょうぶ。今日はいけるよ。


 今日の試合、おっさんSCレディースU15はメンバーをがらりと変えてきたの。

 中二、中一を中心に構成。チュンチュンも右MFとして出場する。

 ナナとしてはとても心強いよね。ちなみに中三は一人もいない。



 「ピーッ」

 試合開始のホイッスルが鳴った。


 「ナナ! ナナ! スズキ・ナナ」(ド・ド・ドン)

 応援団おうえんだん声援せいえんのあと、ドラムの音が鳴る。

 おっさんSCレディースの応援団おうえんだんにゴロウと高杉君がさんかしてくれてるの。


 「おっさんのアラン! スズキ・ナナ」(ド・ド・ドン)

 アランはよけいだけど、とてもうれしい。

 「コイズミ・スズメ! チュンチュン! 」(ド・ド・ドン)

 「切り込み隊長! チュンチュン! 」(ド・ド・ドン)

 チュンチュンの応援歌おうえんかもあるんだ。


 おっさんSCレディースU15がボールキープしてたんだけど、ミスでボール奪われちゃった。


 そのまま敵が、おっさんSCのDFのうらのスペースをねらってスルーパスを出す。

 ナナはスルーパスを察知さっちしていっきに前へ。そして横になってすべりながらボールをキャッチ。


 「いいぞ! いいぞ! スズキ・ナナ」(ド・ド・ドン)

 「おっさんのカベ! スズキ・ナナ」(ド・ド・ドン)

 今の応援おうえんでナナはきんちょうがほぐれた。ありがとね、みんな。


 「ナナ!」


 チュンチュンがパスを要求してきた。チュンチュンだけは、私をナナって呼んでくれるの。


 ナナは、ハーフェーライン上の右サイド奥にいるチュンチュンへ、パントキックでパス。

 チュンチュンはナナのパスを胸でトラップ、ボールを左足元に置く。

 そして相手DFと一対一の勝負に出た。


 左足で二回右方向にボールをタッチして右足うらで止める。

 そのしゅんかん、左足のつま先でボールをちょこんとけりだして、猛ダッシュ。

 ドリブルしながらそのまま右足でセンターリング、と見せながら右足でクライフターン。


 きゅうげきに切り返しながらカットインしてゴールエリアに侵入。

 そのままゴール奥のすみへめがけて左足でシュート!


 「ゴール!」


 おっさんSCレディースU15先制。

 チームメイトがチュンチュンのところに集まって祝福しゅくふくする。

 

 「ナイスゴール! チュンチュン」


 ナナは大声でチュンチュンの名前を呼ぶ。チュンチュンのカットインはホントすごいよね。


 「ナナ、ナイスパス」

 チュンチュンも返してくれた。


 このいきおいでこれからも行くよ、オーッ!



 





 



 

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ナナの夏のセレクション あかさたなはまやらわんっ! @kusukusu05

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