ナナの夏のセレクション

第40話 片づけ

　昨夜（さくや）はとても暑かったので、今日、九月一日も最高気温（さいこうきおん）が三十五度を超えるかも。

　そんな中、引き続きジュニアユースの男子たち数名に来てもらいました。

　彼らに手伝ってもらいながら仮設（かせつ）テントを片づけている最中（さいちゅう）です。

　あいさつが遅れました。

　プロローグでみなさんとお会いした田所さな江（たどころさなえ）と申します。

　職業（しょくぎょう）はおっさんSCレディースU15アカデミーダイレクター兼コーチです。

　今回の第二回セレクションでは、FPの中からGKの素質（そしつ）のある女子選手を探し出す仕事を担当（たんとう）。

　前回のセレクションでは、GK候補（こうほ）が二人も見つかりました。

　一人は合格、もう一人は合格見送り、としました。

　一人を見送った理由としましては、先の合格者よりも足元のテクニックがある。

　そして他チームのセレクションを受験してもらう。

　その後、彼女がどう変わってきたかを見極（みきわ）めようと判断したからです。

　日本の女子サッカーは、女子ワールドカップやオリンピックのなでしこジャパンを見ての通り。

　FPの質はかなり上がってきています。

　ただGKの選手数がまだ足りないのです。

　女子GKの競技人口（きょうぎじんこう）を底上げしなければなりません。

　普及部（ふきゅうぶ）はもちろんのこと、女子アカデミーにおいてもアンテナを張ってGK選手の発掘（はっくつ）をおこなっております。

　判断材料（はんだんざいりょう）としましては

　一、身体能力（しんたいのうりょく）ある。

　二、背が高い。

　三、FP並みのボールテクニックがある。

　以上、この三つです。

　火の元サッカー狂会におきましても女子GKプロジェクトを立ち上げ、年に数回ナショナルトレセン活動を行っております。

　合格見送りとした女子選手のお兄様が、男子アカデミーのジュニアユース所属と判明（はんめい）。

　今回その彼にも手伝いに来てもらっています。

　そして彼からいろいろな情報を得ることができました。

　該当（がいとう）する女子選手のお父様が、このセレクションを観戦（かんせん）されているとのこと。

　ごあいさつをさせていただきました。

　彼女には条件付（じょうけんつ）き、つまりGKでの入部をお願いしたい。

　ご返答（へんとう）の期限（きげん）は明日までとしました。

　ただ、彼女本人がぜひGKをやりたい、という熱意（ねつい）とともに、お父様のご了承（りょうしょう）も得ましたので、今日、合格通知（ごうかくつうち）を送らせていただきました。

　以上、田所さな江でした。