言葉は時に呪いとなる

「私を離さないでね。一生よ」

 魔術を使える私に、女がそう言った。

 女に飽きていた私は、女の願いを叶えてやった。

 ラピスラズリの指輪の中に彼女を閉じ込め、その姿を人魚にしてやった。芸が細かいだろう?


 カフェで、くだんの指輪をながめる。人魚が「私をここから出して」と言っているようだ。

 ほくそ笑んでいる私に、「遅れてごめんなさい」と女が近づいてきた。

 さて、この女は、私にどんな願い事をするのだろうか?

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短編三話「離さないで」 青切 @aogiri

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