【KAC20245】「はなさないで!」「はなさないでて言われたらはなすに決まってんだろw」除霊師チャラ男友を助けるために静止を振り切り呪霊の巣に向かう

竜頭蛇

はなさないでって言われたらはなすに決まってんだろw


「離さないで! サンちゃん! あんなところに行ってはいかん!」


「うるせえ! ダチを見捨てられかよ! それによ! 離さないでって言われたら離すに決まってんだろwwwwww」


 呪われていると言う曰くのあるトンネルの入り口。

 関西弁の少年の静止を振り切り、金髪に浅黒い肌、金のネックレスをしたいかにもチャラ男と言った風体の除霊師--茶羅尾燦がトンネルに走っていく。

 燦が除霊師だと知らない関西弁の少年は肝騙しに入った他の友人同様に戻ってこないことを確信し、咽び泣く。

 だがその確信を裏切られる。

 なぜならそれは彼が伝説の除霊師の家系--茶羅尾家の次期後継者だからである。



 ーーー


『ほほほ、またぞろ息の良い獲物が迷い込んできたわ!』


 怨霊がほくそ笑み、飛び込んできた燦の生気を吸い取ろうとする。


『す、吸い取れん!? 逆に浄化されている!! なんだこのチャラ男は!!』


「ちゃっちゃと終わらせてやる」


 が逆に浄化され、タタラを踏むと燦は首元の金のネックレス--霊力を増幅する霊験あらたかな金鎖を右手に巻き付けると九字を唱え始める。


「臨! 兵! 闘! 者!ーー」


『グアアアアアア! なんだこれは! 存在しないはずのチャラ男との記憶が!』


 九字を起点とし茶羅尾家伝来の除霊術--茶羅尾恵久須鳥居無が炸裂し、呪霊は惨憺たる悲鳴を上げる。

 思いを放つこと--話すことで霊力を練磨する流派である茶羅尾家の次期後継者として鍛錬が身を結び、並の呪霊では抵抗さえできぬ強大な除霊術が形成されていた。

 鍛錬の特殊故にチャラ男と誤解され続けてきたがこれはまごうことなき彼の真面目さの賜物であった。

 無論、呪霊は抵抗することもできず燦の術中にハマり、怨み辛みが全て燦とパリーナイトした記憶に置き換わり浄化される。


『マブダチのために成仏するしかねえんだわ!』


「「「俺たち何やってたんだ……」


 無事、燦の除霊でチャラ男一色となった呪霊が成仏すると、呪霊によって囚われていた燦の友人たちが目を覚ました。


 完

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