KAC20245 泣いている女の子を助けたら、なぜか人生が終わる話し。

久遠 れんり

道ばたで、女の子を拾ってはいけない

 その日は、空全体に雷雲が広がる怪しい日だった。そんなある日。

 僕は、道腹で泣いている女の子を、道ばたで拾った。


「こんな所でどうしたの?」

「はえっ。お兄さん何者ですか?」

「何者と言うほどでは無いけれど、大学二年の学生」

 そう言うと、彼女はじっと見つめてくる。


「うーん。良いかも」

 そんな不穏な台詞。

「お兄さん。私上司に叱られて、このままではお家に帰れないんです。助けてください」

「上司? 仕事」

 彼女はどう見ても高校生くらい。


「仕事って何?」

 そう聞くと、少し困った感じで口籠くちごもる。


「ああ無理に、言わなくても良いけど」

 そう言ってしまったのは、上目遣いで、その目に涙が溜まっていたから。


「そうだ、お腹でもすいていない?」

「すこし」

「じゃあ……」

 そう言いかけて、かわった法律を思い出す。

 良いや。泊めたりするわけじゃない。


「おいで」

 そう言って、彼女の手を引いて家へ向かう。


「君って、年は幾つ?」

「五千。いえ二十三歳です」

「えっ」

 驚いてしまい、つい声が出てしまった。


「何ですか?」

「いや、年下かと思って」

「あー。ありがとうございます」

 斜め後ろにいて、顔は見えないが、声は嬉しそうだった。


 とりあえず、逮捕されることはない。


 つい、うちに連れてきたが、ご飯……


 炊飯器の中で、ちょっと古くなったご飯

 冷凍した鶏肉。

 タマネギとかニンジン。


 オムライス一択だな。


 鶏肉を一センチ角くらいに切って、炒めつつ軽く酒と生姜で炒め、みじん切りにしたニンジンと玉ネギをレンジで火を通す。


 フライパンに放り込み塩胡椒と、鳥出汁系の中華調味料を少し入れる。


 ご飯を入れて、混ぜ。

 フライパンを煽りながら、ケチャップを混ぜる。

 全体に混ざればボウルに移し、油を引き直して薄焼き卵の要領でフライパン全体に広げる。上がまだ半熟状態で、さっきのチキンライスを適量乗せる。


 フライパンの丸みを生かし、端で卵に巻いていき、皿へぱこっと伏せる。

 貧乏だから、大量に卵を使うオムレツを割るタイプは作れないしなんだか、薄焼き卵の方が好き。


 手早く二つを作り彼女の前に、置く。

 ケチャップをのせる。

 デミグラスを混ぜても良いが、まあ。


「どうぞ。味は保証できないけれど」

 そう言って、スプーンを渡す。


 さっき中華スープを使ったついでに、卵スープも作った。

 お湯に、中華スープ。それに溶き卵をスープをかき混ぜながら投入をする。

 好みで、塩胡椒や、水溶き片栗粉を入れる。


 彼女はあまり食べたことが無い感じで、怖々口に運ぶ。

「美味」

 そう言って、ガツガツ食べてくれた。


「ふわあ。美味しかったです」

「満足してくれたなら何より」

 誰かに食べて貰い、満足をしてもらうと、なんだか嬉しい。

 普段自分で作っても、あまり美味しいと思ったことはない。

 いや、味気ないが正解かな。


「さて満足もしたし、お兄さん何か望みはありませんか?」

「望み? 特にないけれど」

「それは困ります。何か考えてください」

 さて、欲しいものは多々あれど、ほしいものねぇ。


「あっ、今まで女の子の友達がいなかったんだ。友達に成ってくれる?」

「えっ、うーん。まあ良いでしょう。では契約成立」

 彼女がそう言うと、二人の体が光る。

 

「契約は成りました。でわ」

 その瞬間、どこかのビル。その屋上にいた。

「えっ何で?」


「ええと、靴はここに置いておきますので。それじゃあ、逝ってください」

 そう言って、突き飛ばされる。


「うわ。あぶっ」

 つい反射的に、彼女の手を掴む。


「あら、掴まっちゃ駄目ですよ。素直に落ちてください」

 彼女の目が赤く光る。

「ちょ。

 僕は叫ぶ。


 だが。

「契約は出来ています。私の仕事のために死んでください」

「君の仕事は?」

「申し遅れました、第三惑星極東担当、死魔しまと申します。一般にいう死に神です。それじゃあ」

 手に、ビシッと言う感じで、電気が流れて、手が離れてしまった。


「あああああっ」


「さてこれで、トップ独走。っと。ボーナスは私の物」


「おい」

「あれ? 死んだはず。なんで霊体で?」

「知らん、一発殴らせろ」

「嫌です」

 そう言って消えたが、お友達の居場所が、ぼくにはわかる。


「逃がすものか」

 僕はすぐに追いかける。地の果てまで……

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KAC20245 泣いている女の子を助けたら、なぜか人生が終わる話し。 久遠 れんり @recmiya

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