布テープ・ガール(二)
makeはつくる、化粧は化ける、イチカ、おまえもそろそろ、化粧をする年頃だな、とおじちゃんがしみじみと言った。
「まだ、早いわよ」と私が答えると、でも、マニキュアくらいは塗ってるんじゃないのかい、友達とかさと、おじちゃんが質問をしてきた。
「さあ、どうかしらね、友達の指なんてみたことないわ」
むかし、おいちゃん、指のささくれがひどくて、同僚から透明なマニキュアを塗ったらどうかと言われて、試したことがあるんだ、その残りがあるから、試しに塗ってみたらどうだいと、ザリガニが勧めてきた。私はまだ、そういうことに興味がなかったし、おじちゃんの残りを使うのにも抵抗があったので、「また今度ね」とやんわりと断った。
それに対して、おじちゃんは、まあ、いいやと言ったのち、イチカ、となりの倉庫から、キテレツ大百科スーパーベストを持って来てくれ、メリーはただのともだちが聴きたくなったと言ってきたので、私は「はいはい」と言いながら、机の右横にある、狭い入り口から倉庫の中にもぐりこんだ。
倉庫の中は薄暗く、部屋の右側におじちゃんの荷物、左側に私や母ちゃんの荷物が置かれていた。私の荷物は、私が子供の頃につくった工作や何やらで、捨てられずに、段積みされた収納ケースに保管されていた。
倉庫の左の壁に並べられているカラーボックスから、私はキテレツのCDを探した。
おじちゃんのせいで、古い曲ばかり聴く日々である。まあ、嫌じゃないけど。
つづき。
Procambarus clarkii Ⅵ
私と話さないで(一)
https://kakuyomu.jp/works/16818093073827872493/episodes/16818093073827921831
Procambarus clarkii Ⅴ 青切 @aogiri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます