第8話 ゴーレムを倒さんとす

「タケルって、今までその武器と装備でダンジョンに行ってたの?」


翌日の朝、アストレアと一緒にダンジョンで魔物を討伐していると向かおうとそんなことを尋ねられた。

そう言われてみると僕の武器は、ギルドで貰った剣に、格好は夏用の学生制服という冒険者とは思えないような格好だった。

ちなみに今回は戦ってはいないが、アストレアの格好は大きな杖に、特別な布で出来たローブらしい。


「そうだね。そろそろ新しい武器と防具が欲しくなってくることだね。ずっとこの剣を使う訳にもいかないし。どうやって武器を新調するの?」

「普通は、特定の魔物のドロップ品とかを武器屋に持っていくと作ってくれるよ」

「なるほど」

(それ以外にもダンジョンイーストのこの階層付近でしたら極稀にとれるリクシアナ鉱石でより強力な武器を作れるそうです)

(リクシアナ、鉱石?)

(元々この鉱山で取れていた鉱石の一つです)

(どこにあるか分かるのか?)

(いえ、それは私にも分かりません)


そんなこんなで、僕が主に戦いアストレアにも手伝ってもらいながらもようやく5階層に到達した。


「5階層の魔物はゴーレムね。タケルのその装備じゃちょっと難しいと思うから、私の実力試しに私が戦ってもいい?」

「うん。無理だけはしないようにね」


そんな会話をしていると、


――ゴゴゴゴゴゴ!


「な、なんだ……!? 地震か……?」


僕らの足元がぐらつき始めた。

ダンジョンの中で地震はよくあることだが……。

そして、目の前にゴーレムが一体姿を現した。


「でけぇ」


僕の体の2倍、いや3倍はあるその体。

ゴーレムが周りの岩や鉱物を身体に取り込んで巨大化するというのは、聞いたことがあるが、ここがもともと鉱山と言うこともあってか想像よりも大きい。


(ゴーレムの討伐方法はその巨体の中にあるコアを破壊することです。身体は硬くコアに攻撃を当てることが難しいとされています)


ケイが僕の知らない情報を付け加えてくる。


(ゴーレムって魔法耐性あると聞いたことがあるけどアストレア大丈夫かな?)


そんな僕の心配をよそに、早速アストレアとゴーレムの戦いが始まる。

先に動いたのはゴーレム。

早さはないが、アストレア向かってくる。

それを見てアストレアは何かぶつぶつと文言を唱え始める。


「我が手に宿る力よ、深深と刻印せよ。トレマ」


その瞬間ゴーレムが向かってくるために踏み出した右足の元に大きな穴が開いた。

ゴーレムはそのまま右足から体のバランスを崩しそのまま地面に倒れ込む。

アストレアはゴーレムに起き上がる隙を与えず、どこに隠し持っていたのか短剣をちょうど人間でいう心臓の位置に背中側から突き刺した。

コアはその場所にあったのかゴーレムは動かなくなる。


――ズゴゴゴゴゴ。


コアを破壊されたことで、ゴーレムの身体をまとっていた岩や瓦礫が、崩れ落ちる。


「すげぇ」

「魔法耐性がある敵にだって戦い方を変えれば勝てるんだから。あとはいこれ、ドロップ品」


あっけにとられている僕にアストレアはそう言って、岩の塊?を渡して来る。


「それがさっき言ってた防具の元になるゴーレムのドロップ品。魔力の石」

「あ、うん。アストレアってホントに強いのな。僕のステータスの何倍なんだよ」

「あ、そうだった。この後、ギルドに行ったらパーティ登録してもらおう。そしたら私のステータスも見られるようになるから」


それから、アストレアは追加で4体のゴーレムのを討伐したところで、彼女の隊長を考慮して帰ることにした。

その間、僕は戦いを見るだけだったので少し自分の非力さを痛感していた。

彼女の病気を治すにはこのダンジョンのボスを討伐しなきゃいけない。

こんな敵簡単に勝てなきゃな。

そんな反省をしながら、僕らはダンジョンを後にしてギルドに向かった。


「タケル様、お疲れさまです。今日もドロップ品の買取でしょうか?」

「いえ、今日はパーティー登録をお願いしたいんですが…」


僕が小声でそう言うと、受付のメイさんは横にいるアストレアを一瞥した。

僕のパーティーに加わるのが元Sランクパーティーのアストレアであることに気付き、一度は固まったが、そのあと何かを察したのか、メイさんは僕を見て黙って頷いた。


「分かりました。しばらくお待ちください」


しばらく待つとまたメイさんが戻ってくると、小声で僕たちに話しかけてくる。


「パーティー登録は完了しました。このことは私たちだけの秘密にしておきますね」


そう言って口に人差し指を当てながら微笑む彼女とその気遣いに惚れてしまいそうになった。多分、冒険者の何人かはもうこの餌食になっていることだろう。


「「ありがとうございます」」

「では、お気をつけて」


そう言って僕らはギルドを後にし、宿舎に戻った。


――――――――――


アストレア

 17歳 女


攻撃力 0390

防御力 0345

 魔力 0459

 知能 0150

 敏捷 0278

スキル 

 契り 心弱化


――――――――――



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虐められっ子MOB男のセカンドライフ みっちゃん @nanashi689

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