ヴァイオレットの秘密
「・・・あの、ハリウッド様」
「何だい?」
私とハリウッド様は、小屋から少し離れた場所にある塔に来ている。
かなりめちゃくちゃ信じられないくらい古びた塔だが、私達は『研究室』と呼んでいる。
「なぜ私だけ呼ばれたのでしょうか?」
「教えてあげる約束をしたのは、私と君だけだからね」
それを言われ、私は黙った。
まるで、ヴァイオレットに聞かれたくない内容と言っているようだったから。
「まぁ、本当に色々と教えよう。しっかりと覚えておきなさい」
「はい」
それから、ハリウッド様はたくさんの事を教えてくれた。
―――――そして、容赦がなかった。
なんたって、数時間ぶっ通しで今までヴァイオレットがかけらも説明してくれなかった事を言葉だけで伝えて来たのだから。
「_____と、大体こんなもんだろうな」
「あ、ありがとうございます・・・」
私の前世がロボットじゃなかったら、とっくに
「ガァァ!!」
いつもの烏(?)の鳴き声につられるように、私は外を見た。
かなり暗くなってきている。
「ミィナ君」
「はい、何で」
"ビュンッ"
急に視界が明るくなる。
私は、とっさに身構える。
「・・・すまないね」
ハリウッド様の声を聞いて、少し力を緩める。
「・・・何の真似でしょうか」
(これは・・・、結界術)
ハリウッド様が、防音専用の結界術で私を閉じ込めた。
「君に危害を加えようとは思ってないさ。少し聞いてほしい」
「内容によります」
「・・・もし、気に入らない内容だったら?」
私は、静かに言った。
「・・・殺します」
「まあまあ、そんなに殺気立つ内容じゃないよ」
すると、急に寒気がし出した。
(聞いちゃ・・・、いけない。・・・気がする)
「いいかい、君に・・・。ヴァイオレットの秘密を話す」
* * *
"ガチャ"
「おお、遅かったな」
「ハリウッド様に、しごかれました・・・」
「みたいだな」
魂が抜けた私に、ヴァイオレットは笑っている。
・・・動揺には、気付いていないようだ。
「ハリウッド」
「何だ?」
ヴァイオレットは、ハリウッド様の服を掴んで耳打ちした。
次は、ハリウッド様が笑っている。
「ミィナ君」
「はい」
ハリウッド様は、私の肩に手を置いた。
「それじゃあ、私はお暇するよ」
その瞬間、さっき言われた言葉が頭を駆け巡った。
『これは、君しか出来ない。チャンスは1度だけ。ヴァイオレットを助けたいなら、協力してくれないか』
私は、内心冷汗をかきながらギュッと手を強く握った。
「・・・はい」
ヴァイオレットに目配せをし、ハリウッド様を見送った。
私の手の中には、小さな袋が握られていた。
ロボットの異世界転生物語~【第1章】ヴァイオレットとミィナの師弟生活~ 瑠栄 @kafecocoa
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