人形のような子
「ただいま戻りました、ヴァイオレット」
「ああ、ご苦労さん」
「・・・」
(・・・やはり、魔力は
この世界では、魔法使いに階級がある。
・
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・
・
・
(※階級は、下から順番に取っていかなければならない。また、階級試験を受ける場合は、受験する階級の人の推薦状が必要となる)
「・・・ふぅ」
"ガタ"
私は、紅茶を淹れ直しにキッチンから戻って来たミィナ君をもう一度見た。
(・・・?)
「・・・ミィナ君」
「はい、何でしょう?ハリウッド様」
ミィナ君は自分が声を掛けられると思ってなかったようで、分かり易く驚いていた。
私は内心酷く驚愕している事に気付かれないよう、優しくニコッと微笑んだ。
「少し、試しても良いかい?」
「・・・はい?」
* * *
「ルールは、至ってシンプルだ。
1.これは、どちらかが降参するまで続く
2.手加減はなし
3.互いに、後々の文句は受け付けない」
「分かりました」
(・・・何とも、不思議な子だ)
「それでは、始めよう」
「はい」
・・・いやいや。
「ミィナ君?始めるぞ??」
「はい、どうぞ」
「いや・・・、杖は?」
「持っていません」
私は、反射的にヴァイオレットを見た。
ヴァイオレットは、何ともないように紅茶を飲んでいる。
「おい、ヴァイオ」
「安心しろ、ハリウッド。そいつは、杖があろうがなかろうが変わらん」
長年のつき合いだからか、フードでほとんど隠れた顔でも笑っているのがわかった。
「・・・ふぅ」
(どうするべきか・・・)
『杖がない』というのは、魔法使いにとって致命的だ。
魔法を使うというのは、手から魔法がバンッと出るような簡単な"作業"なんかじゃない。
「ミィナ君、この試験は君が杖を持った時にしよう」
「わかりました」
(ふむ・・・)
ずいぶんと、聞き分けが良い子だ。
「その代わり、後で色々と教えてあげよう」
「ありがとうございます」
(・・・人形のような子だ)
出会って間もない少女に、私はそんな印象を抱いていた。
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