責任

注:このアイデア自体は、筆者のドラゴンクエスト3・1の二次創作にあるものです。



 ある日眠った私は、全く別人に生まれた。

 生活水準はあまり変わらない。


 ただ、ナチスドイツ、第二次大戦の日本、第二次世界大戦のアメリカと同じように、「徴兵されて虐殺を義務付けられる」国に生まれた、年齢・性別・健康体の人だった。

 眠る前のことは、誰にも言えない幻のような前世。


 そして生涯を終えた時、私は「眠る前」の翌朝として目覚めた。

 ただ、「夢」の生涯でやったことは、「眠る前」の全世界に公開されていた……


 抵抗者として良心に従い、近所のユダヤ人……というような……の子のために、家族もろとも処刑された私。

 出世し強制収容所所長となり、さしたる抵抗もなく筆舌を絶する行為の限りを尽くした私。

 運よく虐殺に加担することなく戦死した、といってもその軍の一員として戦い抜いた以上十二分に責任がある私。

 戦勝国の英雄としてすべての隣人に賞賛され、聖職者にも許された、爆撃機のパイロットの私。


 何が違ったのだろう?

 そして、夢の中でやったことに、私は責任があるだろうか?


 なぜ私は英雄とされる?

 なぜ私は悪魔とされる?

 なぜ私に責任がある?

 私は本当にただの英雄か?ドイツに生まれた私とアメリカに生まれた私、何が違う?同じ三万人の女子供を命令に従って殺したのに?

 なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?


 私には義務があったのか、家族もろとも拷問されて処刑され、絶対の悪と断じられるとわかっても、前世の幻の「みんながそう言っている」「法が定めている」良心に従う義務が?

 それは義務でいいのか?そんな義務があっていいのか?

 またあの夢を見るなら、今度は……あの拷問に耐えるのか?目覚めたときのあの白い目に耐えるのか?


 あなたは?

 いくつか読むといい。

 日本、ナチスドイツ、アメリカ……

 虐殺をした人の手記を。

 虐殺された人の手記を。

 抵抗した英雄の話を。


 あなたは?

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