奇譚。一言でいえばそう。しかし奇妙な出来事がたどり着く先はユーモアに溢れています。人知を超えているのに人間臭かったりします。もしも世界を作った神様がいたとしたら、神様が本当に作りたかったのは吉本新喜劇の舞台だったのではないか。いや、そこまでどぎつくなくて、穏やかな可笑しみに溢れています。人間は大したものではありませんし、人知を超えたものも大したものではありません。皆で眺めて、ワッハッハ。笑った後に、自分も人間のうちの一人と思い出すのです。
なにげない日常。散歩。観葉植物。そこから始まる奇妙な掌編。暮しの其処彼処を起点として非日常な事が起き、また日常へと戻る。不可思議な世界の逍遥録。淡々とした語り口が妙味を生む奇想に溢れた随筆形式の創作短編集也。一読の価値有り。ぜひ読む可し。
日常と非日常の混ざり具合がおもしろい。 それぞれ短編としておもしろいのだが、各話はつながっており、そのつながり具合もまたおもしろい。 もっと続きが読みたいような気もするが、読み手にそう思わせるくらいで完結したほうが、お互いのためなのかもしれない。 文章が非常に安定しており、読みやすかった。
各話は独立した話としてどれも面白い。隙間時間に少しずつ読んでもいいが、ついつい一気読みしてしまった。何日間か楽しめたはずなのに勿体ないことをしたのでまた読み返そうと思う。
一つずつ、不思議が増えてゆく小品。どれもが不思議で機知に富んだ秀逸な話だが、時に二度見させられる(ほど笑わされるので交通機関で読んではならない)ものもあるので気をつけたい。 逆に、本当にあったのかも知れない怪異譚や、本当にはないだろうが状況が怖い話もありバラエティ豊かだが、一貫して作者の筆致と機知には唸らされる。是非とも手に取られる事をお勧めする。