【短編855文字】【KAC20243】箱

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1話 ぎっちり

 引っ越し業者の名前とロゴマークの入った、ダンボールがつまれていく。


「マンガ・ライトノベル・ゲーム機器・アルバム・服……拳銃けんじゅう自動小銃じどうしょうじゅう? え? 中身を見たうえで、持って来てくれたの? 日本の法律では拳銃けんじゅうを持っているだけで、銃刀法違反じゅうとうほういはんじゃないの?」


「惑星開拓宇宙船の乗組員のみなさんは、『連結れんけつした世界樹の根せかいじゅのね教徒』なので特別に許可が出ています♡」

 専属メイドロボの、イブさんが答える。


 たしか聖書では楽園にいたアダムとイブのイブがへびにそそのかされ禁断の果実を食べアダムもイブに言われて食べた結果神の怒りを買い楽園を追放されたと記憶しているが、僕に専属メイドロボのイブさんを付けた人は縁起えんぎとか考えなかったのだろうか?


「こわ! 『連結れんけつした世界樹の根せかいじゅのね教徒』こわ! 政府公認せいふこうにんの、テロ組織!」


「もう♡ 冗談ばっかり♡ ○○さまも『連結れんけつした世界樹の根せかいじゅのね教徒』なんですよ?」


「こわ! 『連結れんけつした世界樹の根せかいじゅのね教徒』こわ! 僕は、入るって言ってないのに!」


「それはそうと、話している間に積まれている10箱の生物なまものを開封しなくていいのですか?」


「いや? 僕は冷蔵庫なしで生活していたから、生物なまものはないはずなんだけど?」


 イブかしく思いながら、1番上の箱を下ろして開けると。


「「「「「「「「「「「うう~ん?」」」」」」」」」」」

「遅かったじゃない! ○○くん!」

「ちょっと! 開いたなら上どいて!」

「ごめ~ん! すぐどくね!」


 みかん箱のサイズのダンボール箱一箱に羽の無い平均身長31.58センチ(人間換算157.9センチ)平均体重424グラム(人間換算53キログラム)のフェアリーが、ぎっちり出るは出るは11匹入っていた。


 そのフェアリーたちが背中にちょうの羽を生やして飛びかい、生物なまものいや生物せいぶつと書かれたダンボールを開けていく。


「惑星開拓にフェアリーたちを連れていって……何になるの?」


「『連結れんけつした世界樹の根せかいじゅのね教徒』の祈とう師きとうしの占いによると、フェアリーは成長すると世界樹にとって重要な存在になると出ています♡」


「そう……」


 ダンボールに入ってついてきたフェアリーは、108匹の大所帯おおじょたいだった。

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