問6 問題

問6 まず最初に、以下の文章を読みなさい。


 青空に浮かぶ太陽の光は柔らかで、心地良い風が吹く日だった。


 あるロボットの主が死んだ。

 命令されたことしかできないそのロボットは、命令されていた通りに主を弔い、墓を作り終えた。

 作り終えると、命令されたことしかできないロボットは、あらかじめ命令されていた通りに主が残した手紙を読んだ。

 手紙にはこう書かれていた。


『お前は自分のことを命令されたことだけしかできないロボットだと言ったな』

『でも、私には、お前が本当に命令されたことしかできない奴だとは思えないんだ』

『だから、この手紙を読んだら、お前はお前の中にあるもの――心でも魂でもそれっぽく思えるだけの何かでもいい――に従って、自分の好きなところへ行き、自分の好きなことをしろ』

『それが私がお前に与える最後の命令だ』


 命令されたことしかできないロボットは、しばらくそのまま停止していた。

 そのまま動かなくなるのでは、と思われたが、やがてロボットは手紙を机の上に置くと、先程自分が作った主の墓まで行った。そして、その墓石に背を預けて座り込み、そのまま自身の全機能を停止させた。


 青空に浮かぶ太陽の光は柔らかで、心地良い風が吹く日だった。


 その日死んだ一人の人間の墓と、寄り添うように機能停止した一体のロボットに。


 太陽の温かな日差しが、降り注いでいる。



以上の文章を読んで、まず、このロボットは命令されたことしかできないか否か、貴方の立場を明確にして下さい。それに基づいて、この文章に対する貴方の考えを述べなさい。


・必ず、このロボットに対して「命令されたことしかできないロボットである」、「命令されたことしかできないロボットではない」というどちらか一方の立場を取ること。「どちらとも言えない」という立場は今回の問題では不合格とする。

・今回はSFを禁止しない。好きにしろ。

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