・解答例（僕）

　曲がり角を曲がった先で食パンを咥えて走ってきた美少女とぶつかった。即死だった。それは単なる美少女ではなかった。その速度は音速を容易く超えていて「遅刻遅刻ぅー☆」と言いながら、片手で掴んだ怪物らしきものの顔面をアスファルトの地面に押し付け、路面と怪物の頭蓋を粉砕していて、さらには空気との摩擦熱による炎の尾まで引き摺っていた。無論、その途中に現れたどこにでもいる平凡な男子高校生など一溜まりもなかった。一応、美少女の方もこちらには気づいたらしく急ブレーキを掛けたようだったが間に合わず、鎧袖一触で路面と怪物同様に粉砕された。その衝撃で僕は異世界に転生した。ぽかん、と彼女の口が開き、くわえていた食パンが離れた。

・判定（※先輩による個人的な判定です）

×（不正解）

・解説

　長げえよ。

　どうして、なぜ、最初の一文だけではいけなかったのでしょうか。そこは別に単なる美少女で良かったのでは。

　ええ、なるほど、問題には「戦闘禁止」とは確かに書かれていませんでした。いませんでしたが、だからってやっていいことと悪いことがあると思います。普通の人間同士が走ってぶつかっても平気と書いたのに、何でわざわざ普通じゃない人間をぶつけてくるんですか。音より早いって何者なんですかこの美少女。強過ぎるでしょ。

　また「僕」を異世界に転生させていますが、その必要はあったのですか。必要なくないですか。転生トラックや通り魔を禁止した出題者の意図をもう少し汲んでもらいたかったです。っていか、美少女に轢かれて転生するって何。おかしいだろ。そんな異世界転生あるわけねえだろ。ふざけんな。

※お言葉ですが先輩。今どきのウェブ小説の多様性を舐め過ぎです。斬新だと思っていても「もうある」なんてことはざらです。何か超強い美少女に轢かれて転生するところから始まる作品だって、探せばきっとそれなりにあるはずです。