届いたプレゼント
蒼河颯人
届いたプレゼント
ある日、僕のもとに一つの荷物が届いた。
今日は僕の誕生日だ。
宛名は僕宛だ。間違いない。
郵便配達の人から受け取り、受領印を押す。
今日はたまたま仕事が休みだったので、ちょうど良かった。
早速開けてみようか。
両手抱えの大きさのあるダンボールだ。
中々大きい。
一体何が入っているのだろう。
高鳴る胸の音に耳を澄ませながら、僕は固定されていたガムテープをばりばりと剥がしにかかった。
ダンボールを開いてみると、中に真っ黒な箱が入っていた。
それには紐が結んであり、蓋が開かないようにしっかりと固定されているようだ。
今度は紐をほどきにかかる。
しゅるると音を立てて、戒めを解かれたその蓋に手をかけてみると、それは簡単に開いた。
その中には、一回り小さな緑色の箱が入っていた。
それは中身が出ないよう、テープで止めてあった。
今度はその箱を取り出し、固定してあるテープをびりりと剥がしにかかった。
全てテープを剥ぎ終え、蓋を開けた。
すると、その中には、更に一回り小さな青色の箱が入っていた。
その箱を開けると、その中には更に一回り小さい黄色の箱、その箱中には更に一回り小さなオレンジ色の箱……と、開けては箱、開けては箱……を数回繰り返した。
(まるで入れ子だな。一体本当の中身は何だろう? )
到頭、箱は両手に乗る程度になった。
赤い箱だ。
いくら何でも、流石にもうこれ以上の箱はないだろう。
周囲は、空き箱の山となっている。
それを開いてみると、アルミ製の容器が現れた。
(待てよ、これ、見覚えがある容器だな)
すっかり忘れていたが、これ、昔公園の砂場に埋めたタイムカプセルだった。
勿論、自分一人でこっそりと埋めた。
どれ位に埋めたものだったのだろう。確か、二十年位前だったっけ?
懐かしいけど、中には僕の黒歴史がぎっしり詰まっている。
ゼロ点の答案用紙や小学生の時にハマっていた特撮ヒーローのグッズなど、中に入れるものが中々思いつかなくて、ふざけて入れた。
どうせ誰も見ないだろうと思って、そこまで深く考えてなかった。
懐かしいなと頬がゆるんだと同時に、背筋が寒くなった。
待てよ。
確認してみると、送り主名が何故か空欄になっている。
連絡先も黒く塗りつぶされている。
そう言えば、誰にも今の住所は知らせていなかったのだが、これを送ってきたのは一体……
届いたプレゼント 蒼河颯人 @hayato_sm
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