最終章:物件探しのまとめ

 隣の家と接していないアパート探しから始まり、やがて鉄筋コンクリート造の団地という選択肢に行きつき、しまいには鉄筋コンクリート造を重視して隣と接した部屋を許容とした結果、比較的古くない団地を選択する運びになった。


 Y団地の決め手は今思えばやはり、実際に内見できた部屋というところだろう。G団地のリノベ物件も仮に内見がすぐにできていれば、そちらを選んだ可能性もあるのかもしれない。やはり「内見」の威力と決定力、安心感は絶大だ。



 そういえばここだけの話、実は序盤に出てきたK市のアパート物件は、あれから途中で前の人が辞退したので話を進められるという電話がかかってきたのだが、G団地の話を聞いた直後だったのでやや悩みつつもお断りしていた。これがG団地のリノベ物件を知る前だったなら、駅から遠く家賃も高めだが、他に候補がないからと無理やり決めてしまっていたかもしれない。

 結果、K市のアパート物件よりも駅近で家賃も安い団地の物件を決めることができた。G団地の存在もなければY団地を選ぶこともなかったかと思うと、一連の物件探しの流れにどこか運命的なものを感じる。

 また団地という選択肢を教えてくれ、D団地の事故物件の情報を教えてくれた親にも感謝せねばならない。


 なんやかんやで大変だった物件探しだが、結果程よい物件に落ち着いたのではないかと思う。まだ実際に住んではいないため、正解だったのかどうかはわからないのだが。

 団地は住んでいる人が多いから嫌だという思い込みがあったが、実際に内見した二つの団地も、外だけ見てきたD団地も全て、土日にも関わらず、意外と人が少なく静かな印象だった。

 アパートの方がどこに誰が住んでいて、あの車は誰のものだといった感じで隣人の様子が目につきやすい部分があり、それも騒音トラブルに巻き込まれた要因なのかもしれないと思うと、大勢に紛れてひっそりと住める団地の方がある意味安心なのかもしれない。

 とはいえ団地には値段が安めの原因がどこかにあるはずで、団地ならではの嫌な部分を今後目にすることがあるかもしれない。


 それでも団地というものを知れたのは、今後のためにも良かったなと思う。安く住めるという選択肢は持っていた方が安心だ。特に、本当に礼金・仲介手数料・更新料・保証人・鍵交換費用あたりが全ていらないというのはありがたい話だ(敷金だけは家賃二か月分必要だが、退去時には返してもらえるものだし)。むしろこれまでの仲介業者がぼったくりだったのではないかと思ってしまうほどだった。


 とはいえ団地は、築年数の古さが垣間見えるとどうも住む気になれない部分があるため、古臭い印象の団地にならないように、しっかりと管理してもらえるとありがたいなと思う。また、これからは某ブランドの手掛けるリノベーション物件なんかももっと数が増えてくれると、団地を検討する人も増えるのではないだろうか。


 そんな感じで、団地という選択肢についてや、内見の感想などを述べてみた。これからも加速するであろう三月の引っ越しシーズン、少しでも、物件探しをしている誰かの参考になれば嬉しく思う。



『団地の内見 体験記』 完



追記:繁忙期の引越しについて

 先日、めでたく引っ越しの日取りが二週間後に決まり、隣人を意識し未だ緊張感のある家にはいながらも、気持ちは穏やかに日々を過ごすことができている。明日には引越し業者からダンボールも届くことだし、これからは引っ越しの準備で忙しくなりそうだ。

 だが引っ越し業者の繁忙期の三月に、引っ越し業者を頼むと本当に高額になるから注意してほしい。査定をしてもらった結果、ウン十万と、本当に目が飛び出るような金額になってしまった(まあ、今回は実質転勤ということで引っ越し代だけは会社が負担してくれるそうだから助かったのだが、会社にはかなり言いづらい金額になってしまった……)

 これまでは三月ではなかったからか、引っ越しがそんなに高くつく印象がなかったので……必ずしも三月に引っ越す必要がない場合は、ぜひとも別の時期の引っ越しをお勧めしたい。

 絶対に三月に引っ越さねばならない場合は……休みを取って引っ越し日は平日にするとか(休日はさらに値段が上がるため)、引っ越し業者を何社か呼んで同時に査定してもらい安値を競わせるとか、なるべく値段を抑える努力が必要だったりするのかもしれない。



追記2:作者コメント

 こんにちは。突然出てきてすみません、作者のほのなえです。

 現実の自分を一部晒したりするのが少し抵抗がありどこか気恥ずかしかったため、エッセイではなく架空の家族、安田家の話として他人事のように書いてみましたが、『団地の内見 体験記』の内容自体は、実際に作者が経験したことになります。

 正直騒音トラブル以降、本当に大変だったので……絶対に暗くなりそうだしカクヨム上でこの話をするつもりはなかったのですが、KACでまさかのタイムリーすぎる「住宅の内見」というお題が出たものだから、物件探しをしている誰かの参考になれば……と思いたち、ここだけで事の顛末を書いてみました。


 とはいえ作者は元々物件探しや団地、内見についての知識が豊富だったわけではないため、今回の経験を通して感じたことしか書けておらず、もしかしたら間違っている内容もあるかもしれません。その時は即座に訂正しますので、ご意見くださいませ。


 ではでは。最後まで本作にお付き合いくださり、ありがとうございました!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

団地の内見 体験記【KAC2024 2回目】 ほのなえ @honokanaeko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ