49

 私、少し疲れているのかな? 穴掘りの仕事場で居眠りをして怒られたホラーはそんなことを思った。

「ホラーは頑張りすぎなんだよ。それにさ、少し前はさ、穴掘りの仕事から逃げようって言ったり、最近はすごく穴掘りの仕事に真面目になったり、極端なんだよ。そんなんじゃ、体も心も持たないよ」ホラーの仕事まで手伝ってくれた影が言う。

 影に言われてホラーは頬を膨らませる。

 でもいいのだ。家に帰ればひなちゃんが私を待っていてくれる。それだけで穴掘りのお仕事がすごく頑張れた。

「いつかはさ穴掘りの仕事も無くなっちゃうのかもしれないね」午後の仕事中に影は言った。

「穴掘りの仕事は無くならないよ。人間は、ううん。人間だけじゃないよ。命は死から逃れることはできないから」愛用の銀色のスコップです穴を掘りながらホラーは言う。(最近うさぎの絵が消えかけてしまっている。あとでもう一度同じ絵をスコップに描こうとホラーは思った)

「人はさ。もうすぐ死ななくなるらしいよ。みんながそんな話をしてる」

 人が死ななくなる? 影の言葉を聞いてホラーは首をかしげた。

「そんなわけないでしょ? そうしたら死そのものがなくなっちゃうじゃん」もしそんなことになったら、この根っこの国だってなくなってしまうかもしれないじゃん、とホラーは思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

根っこの国の死神少女 ホラー・ガール 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ