【短々編】安心感となじみ深さのあるメイド服を着た奇妙なお姉さんとぼく
九兆
主人公とは
メイド服を着た奇妙なお姉さんは、安心感となじみ深さとどうでも良さを振りまきながら語る。
多分、彼女自身、今喋っていることはどうでもいいと思っている節がある。
なんというか
「そんなに話したいなら、そこら辺の石に語りかければいいんじゃないですか」
みたいな酷い提案をされそうな話っぷりであり、ぼく自身も1コンマぐらいは言ってみようか考えたりもしたが、彼女もそれを自覚的に意識的に思って喋っているだろうから、野暮なツッコミだろう。
無論、それはぽくの根拠の無い観察眼による思いこみにすぎないのだが。
むしろ彼女の取り留めもオチも無い
訊いている。
効いているのかは、知らない。
「『主人公』について教えてください、と言われたら、まあ僕が考える主人公の定義の一つとしては”根拠があるか”になるんだろうかねぇ」
気だるそうに教卓に寝そべりながら、メイド服を着た奇妙なお姉さんは
「例えば、主人公とは言っても、正しくない存在がいる。
幼なじみを壊してたり、正義と道徳を知らない振りして殺人に勤しんでいたり、他人を世界をより良くする道具としか思いこんでいなかったり、他人から与えられた使命でしか生きられなかったり、平和な世界を目指しすぎて打ち切られたり、まあ多種多様千差万別な、”宜しくない”主人公が、いるよね?」
そう問われても、ぼくはそんな人を見たことも聞いたことも心当たりもないので、お姉さんの昔の知り合いなのだろうか? と疑問に思うしかない。
そしてお姉さんも、その疑問については解くつもりがないようだ。
「だけれども、彼らの大体は、その生き方に”根拠”を持っている。ダメな存在であればダメな
そう言われると、ぼく自身に、ぼくの生き方に”根拠”があるとは、思っていない。
精々、自身を持って言える
そして、それすらもぼくの
「つまりだね。きみが自身を主人公と思えないのだとしたら、きっとそんな所を探すべきだと思うぜ。自分を探す前に、
人生というもの全てを理解しているような、メイド服を着た奇妙な安心感となじみ深さを持つお姉さんは締めくくった。
果たして、彼女は彼女自身をたらしめる
「根拠が無くても生きていけるスキル『
「台無しじゃないですか」
スキルで何でも解決出来てしまうというのは、それは幸いなのか不幸なのか。
そのどちらとも言えるだけの根拠が無いぼくはただ聞き流すことしか出来なかった
【短々編】安心感となじみ深さのあるメイド服を着た奇妙なお姉さんとぼく 九兆 @kyu_tyou
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