第6話 悪役令嬢と学園での流れ

それからあっという間に二日が過ぎた。

私は今日ヴァイオレットと共に学園…


アリステア王立学園へと向かう。


ヴァイオレットとの会話の後

私は感情、特に表情をコントロールする指導を受けた。

元々ラインだったからというのもあるのか二日目にはほぼ抑えられるようになっていた。


私は荷物を整え、用意された制服にそでを通し学園に向かう馬車の前でお嬢様を待つ。

学園生活に必要な学力はそこまで高い物を必要とせず、ラインの知識と前世の記憶があれば問題なさそうだ。

後は授業をしっかり受ければある程度の成績をキープできるはず。


ヴァイオレットは父と従者に見送られながら荷物を持って玄関から出てくる。

「おはようライン。」

三日ぶりにヴァイオレットの姿を見た。



「お嬢様、おはようございます。」

「準備はできているわね?」

「はい、まだ完璧ではないですが意識していればほぼ抑えられるので大丈夫です。」

「よろしい

 それでは学園に向かう前に貴方にチートを返却します。手を出しなさい。」


ヴァイオレットは左手にチートを出現させたので、

私はそれを掴み自分の所に引き寄せようとしたところで


一つまみ分だけヴァイオレットに持っていかれてしまった

「やはり一回分だけ貰っておきます。」

「わかりました。」


私はお嬢様からチートを受け取って飲み込んだ後、共に馬車に乗り込み

学園に向けて動き出す




馬車が動き出して少し経ち、ヴァイオレットが口を開く

「それではライン、学園に付く前に

 これから起こりうる事、そして私と貴方のやることを簡単に伝えておきます。」


ヴァイオレットは語る




まず、魔族に勝つためにネイア・パトラーを聖女しなければならない。

これは私も分かっていた。王子ルートと逆ハーレムルート以外のルートに進んでいた場合は聖女にならないので

実質バッドエンドではないかと私も思っていた。

ゲームの

いや、物語の流れをそのまま進めて王子ルートか逆ハーレムルートに進んでもらわなければならない。


必要であれば私たちがネイアをサポート、誘導していくことになる。

もしそれでも別のルートに進んでいる場合は、少し強引な手を使うとの事だ。

それが、ネイアが転生者ではなかった場合に辿る流れだ。




「ですがまだ転生、いえ

 記憶を取り戻してないだけかもしれないわ。

 ですので私は近くから、ラインは外側から遠巻きにネイアの動向を監視します。」


様子を見つつ、物語を知らない転生者なら王子ルートに誘導する、

物語を知っている場合は勝手に逆ハーレムを作ってくれるか、王子ルートに進んでくれれば簡単だが

別ルートを進んでいた場合はやはり強引な手段…


催眠や洗脳魔法を使って操り人形にし、聖女に仕立て上げるようだ。

この国でその類の魔法を使用する事は重罪となるようだが、致し方ないとのこと。


ネイアが聖女になるまでの道を監視、整備をすることが私たちの役割だと、ヴァイオレットは語った

聖女になってくれれば、婚約破棄などもはや些事とのこと。

このリアリストな考え方はどうみても悪役令嬢。




「学園が近づいてきたので、ラインはここで馬車を降りてもらうわ。

 ネイアがこの道を通って学園に向かってくるのは分かっている。貴方はそれを待って後方から監視を始めなさい。」

「分かりました。それでは学園で合流しましょう。」


ヴァイオレットの指示のもと、荷物を持って馬車を降り

路地裏に隠れてネイアを待つ。

待つこと数分、学園に歩いて向かっているネイアの姿を見つけたので私は後ろに回り監視を始めた。



ヴァイオレットの父、ティスデイル公爵は学園が始まるまでの数日間

常にネイア・パトラーを監視していた。

その結果怪しい動きは見られず、転生者ではないと結論付けた。

その言葉通り、監視を始めても特に気になる事はなかった。

しかし


学園に辿り着く最後の曲がり角に差し掛かったところでそれは起きた

「キャッ!」

不意に馬車が飛び出してきてネイアの目の前を駆け抜ける。ネイアはびっくりした拍子に尻もちをついてしまっていた。

馬車は止まることなく駆け抜けてまるで轢き逃げのようだ。

物語でそんなシーンがあったな、忘れていた。



「…思い出した」

「ん?」


ネイアはゆっくりと起き上がる

何か呟いていたようだが少し離れていてよく聞こえなかったので近づくことにする



「思い出したわ、セイントテイル対戦会に向かう途中で私は暴走車の玉突き事故に巻き込まれて死んだ

 そして神様と出会い、セイントテイルの世界に転生させてもらった。

 逆ハー作ってむかつくヴァイオレットと戦えるわけね、舐めプして屈辱を味合わせた後にぶっ殺してやるわ!」

これは転生者で、しかも対戦勢だ。

逆ハー作ってくれるのはありがたいが、ぶっ殺す発言は許せないので私がぶっ殺し…たいですが聖女でした。


とりあえずここにいるのはまずいので速やかにヴァイオレットと合流しよう。

ラインは常にヴァイオレットの傍に居たはず、ここにいるのは物語の流れに沿ってないはずだ。

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浅い知識で乙女ゲー悪役令嬢の執事に転生したので、お嬢様が道を誤ら…ない。ので安心…できるのか? 栄川浩一 @AaBb

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