卒業。長い長い青春の終わり。

今作は、同じ作者さんの他の二作とは全く違うテイストの超短編なのですが、やはりどこが一番違うかといえば、「主人公の心理描写がないこと」ですかね。

今作の『卒業に寄せて』は、語り手となる一人の生徒の卒業文集を読者である我々が読んでいる、という体のお話なのですが・・・。

いやあ、こんな作文が自分たちの文集に載っていたらと思うと、嫌ですね!

「卒業文集」という形をとっていることもあって、その書き手である彼の心の中がなかなか見えて来なくて、無機質に淡々と起こった事実だけを述べていく彼が、登場人物たちの中である意味一番狂気じみているような気もしてきます。


話としては復讐ものに近いかもしれませんが、読後感は爽やかさからは程遠く、そこがこの作品の一番の魅力であると思います。