爽やかな読後感に、乾杯。

全7話読了、今回も素敵なお話頂きました!


今作は水浦先生の他の作品たちとは纏っている雰囲気が全く違いますが、それはひとえに、このお話の主人公が男性、しかも社会人であるという点が大きいでしょう。

悩めるナイスガイ(とは書いてないって?いいんです!心がナイスガイだもの!)、生坂先生が、知り合い(というより、親友といっていい気もします)の営むバーで出会ったのは、見慣れないとても美しい女性。

・・・なんと妖艶でアダルティなボーイミーツガールでしょう!!物語を彩るカクテルの味が、文章から染み出してくるような繊細な情景描写に感嘆するばかりでした。


↓ここからネタバレを含みます

さて、この美女の正体は幼馴染の早見リコでした(このリコちゃんがただの幼馴染というにはあまりにも距離感が近い!近すぎる!籍を入れていないどころか付き合ってすらないなんて、私が生坂先生の家の向かいに住んでるお婆さんとかだったら絶対信じられませんよ!まあ最終的にはちゃんと結ばれるのですが)。

リコちゃんが初めて話の中に登場した際に飲んでいたアプリコットフィズのカクテル言葉は、「振り向いてください」なんですね。そして、生坂先生が注文していたテキーラサンセットは、「慰めてほしい」。
ちなみに、リコちゃんがはじめに頼もうとしていたカカオフィズは、「恋する胸の痛み」という意味があるそうです。
今、調べました。はいすみません、カクテルについては詳しくないんです…。

登場人物たちが飲んでいたカクテルは、全て彼らの胸の内を表していたんですね。
リコちゃんの気持ちも、本人は語らずともカクテルは語っていたわけですか・・・くぅーー!このお話を読む前からカクテル言葉についての知識があれば、一層この物語のエモさに浸って読むことができたのに!

それにしても、頻繁にバーに通っていたらしいリコちゃんが、バーテンダーに「今日も、いつも通りカカオフィズですか?」と聞かれるくらい毎回カカオフィズを注文して一人で飲んでいたのかと思うと、「リコちゃんっ!!」と胸がぎゅーってなってしまいます・・・。

苦い思いもしたけれど、生坂先生はリコちゃんと結ばれてよかったのだと思います。
やっぱり、幼馴染というのは不思議な縁で結ばれているものですから。
優しい二人には、これからお腹いっぱいなるほど幸せになってほしいですね!

アプリコットフィズのような爽やかな読後感に、乾杯。