これが悪役令嬢転生の最前線だ!

悪役令嬢転生。

今や一代ジャンルとなったこのテンプレートは、乙女ゲームの世界において主人公に嫌がらせをし、最終的に破滅するキャラクターに転生してしまった人物がその未来を覆すために奮闘するというのが定番だ。

だがしかし、実際の乙女ゲームには悪役令嬢というものはほとんど出てこないというのも昨今では広く知られるところである。

それも当然で、乙女ゲームはイケメンを攻略するゲームなのだから、嫌がらせしてくる女性キャラに使う尺も立ち絵も無駄なのだ。そんなに際立った個性でストーリーに絡んでくるキャラクターなら、イケメンにして攻略対象にしてしまった方が良い。

(余談だが、少女漫画には悪役令嬢類型が数多く登場する。悪役令嬢モノの原型はむしろこちらに求めるべきだろう)



だが――この作品の作中作『デュエル・マニアクス』は違う!

何故ならこのゲームはカードゲームと組み合わさった、全く新しい乙女ゲーム!

そしてそのチュートリアル対戦相手として主人公にボコられ破滅するちょい役こそが、本作における悪役令嬢なのだから!!



そんな悪役令嬢、ウルカ・メサイアに転生してしまった主人公がカードで破滅の運命を切り開くのが本作である。



何が素晴らしいって、作者によるオマージュ元へのリスペクトだ。

まず主人公たるウルカ・メサイアのデッキはインセクト・デッキ――虫使いである。しかも、転生前は寄生虫カードを相手のデッキに混ぜたりする、どっかのカードゲーム漫画(あるいはアニメ)ですごく見たことある感じだ。相手の切り札とか海に捨てそう。

パロディ好きな作者による数々の仕込みもありつつ、しかししっかりとした知識で描かれる決闘(デュエル)シーンは「おもしれえ~~~~」の一言。

カードゲームアニメにはありがちな強力すぎる切り札や運命を捻じ曲げるドローに対し、ウルカは持ち前のリアル・カードゲーム知識による戦略と、そして大好きなカードゲームアニメから学んだ「最後まで諦めない心」を武器に戦い抜く。



まさに異端にして王道の悪役令嬢転生にしてカードゲーム小説。第一章を読んでもらえればその熱さはきっと伝わるはず。あなたもリアルカードをドローしたくなること請負いだ。

カードで宿命を切り開くウルカ・メサイアの気高き雄姿、是非ともその目に焼き付けてもらいたい。

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