曇天の底から浮かび上がる刹那。

脳裡に描かれる光景の圧巻。
曇天の渦巻く雲間から覗く巨大な魚の鱗。青黒く灰色に光りを帯びて、地上へと海面へと降りて来る、その様を。
 轟く嵐の予感。海と空との領界に置き去りにされる事は恐怖であるのか。それとも一瞬の愉悦であるのか。
 夜魔がくる。
曇天と荒濤の底深く翻弄される。