エピローグ

 今日の授業も退屈そのものである。亜久里は教授の話をうわの空で聞きながら、つい最近自分が加入したアグリノーツのパーティ、サークレッドのメンバー専用チャット画面をぼんやり眺めている。



真琴:姉貴に彼氏が出来た模様…最近毎日楽しそうにしとる…。


空:良い事じゃないですか。真琴さんは良い人居ないんですか?


乾:空…それ言っちゃ悪いって…。


真琴:乾、決めつけるのはよくねえぞぉ。


莉桜:大体司だってさ、この前の日曜日も忙しいって言って会えなかったよね。私をほったらかして美里さんとデートかな?


乾:女所帯怖い…。



 全く、平和な連中だ。世間ではアグリノーツの幹部と国が秘密裏に進めてきたプロジェクトが明るみに出て、今やアグリノーツにもラグナにも厳しい目が向けられるようになったと言うのに。主任研究員たちの大部分は検挙され、守も美里と籍を抜いて今裁判に臨んでいる。


 それでも、亜久里たちの日常は今もあのゲームと共にある。



亜久里:授業ヒマ…。


空:まともに授業受けてるメンバー居ないんですね…。


莉桜:亜久里、運動プログラム中に私とデートしようよ。


乾:こじれるのやめて…。


 電子空間上に作られた講堂で、ふっと笑った亜久里は、今日も美里に良い土産話が出来た、と心中呟いた。

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アグリノーツ 山田 唄 @yamadauta

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