概要
ヒトとは少しだけ違う遺伝子を持たされた僕らは、一生に一度だけ恋をする
僕らは未成熟で18歳まで育つ。大人になるということは、雄か雌かを選んで分化するということ。僕らは一生に一度だけの繁殖期を前に、選択を迫られる。雌雄どちらを選ぶか。誰を伴侶に選ぶか、そして誰も選ばずに終わるか……。綺羅留は秘めた想いを胸に、選択をとどまり続ける。彼が分化を選ばないなら、僕もまた成熟を選ばない。ただ、彼の傍にいたいから、僕は子どもであり続けたいのだ。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!遺伝子の変異によって生まれた新しい人類の愛と運命を描いた物語
時に文学は、我々の内なる深淵を照らし出す一筋の光となり得る。
本作は、遺伝子の微細な変異が生み出した、一度しか恋をすることのできない青年たちの物語である。彼らの運命が、読者に人類の本質、愛の意味について再考させられるだろう。
この小説の中で、作者は繊細かつ力強い筆致で、個体としての生と種としての生の狭間で揺れ動く若者たちの心情を描き出している。彼らの選択、彼らが抱える葛藤、そして彼らが辿り着く結論は、読者に深い感動と共に、人間存在の根源的な問いを投げかける。
それは
「生命の継続という大義の前において、個々の愛がいかにして意味を持ち得るのか」
という問いである。
物語の舞台となる島の…続きを読む