終焉のためのハッピーエンド

ゆ〜 @WGS所属

メール

   ♬ピコン


メールだ。見なくても誰から来たのか分かる。


   ♬ピコン


その相手は俺の人…


   ♬ピコン

   ♬ピコン


一件だけなら可愛く聴こえる通知音でも、何件も来るとうざったくてしょうがない。


   ♬ピコン

   ♬ピコン 

   ♬ピコン  ♬ピコン 

   ♬ピコン  ♬ピコン  ♬ピコン

   ♬ピコン  ♬ピコン  ♬ピコン  ♬ピコン ♬ピコ――


「もうやめろよ!!!!!!!!」


その瞬間に音が止まる。まるでどこかで聞かれている様で怖い。

でも、多分。いや、絶対に相手はこの家にはいない。

窓からどんよりとした重く暗い空が見える。

それでも俺とあの人はずっと一緒にいる。これから先離れることは無いだろう。

自分でしたことがどれほど罪の重かったことなのか、俺はそれを知った。

今までずっと溜まっていた鬱憤を爆発させた。

でも、この罪は完璧に隠し通せる。

怖いという感覚が麻痺した体でメールを開ける。


『遘∽サ雁菅縺ョ菴薙h

縺壹▲縺ィ縺壹▲縺ィ蜻ェ縺」縺ヲ縺ゅ£繧九o』


「また文字化けかよ

 まともなメールを一本くらい送れよ…」


全てのメールが文字化けで読めないが、毎回のことながら訳すなんてことはせず、全部捨てる。

だがそんなメールとも今日でおさらばだ!

これから先、罪がバレることはなくても「バレるかもしれない」と恐れながら生きていくことになる。そんなことは嫌だし、やり残したこともない。

だから、死ぬ。

幸い親はもう他界しているし、兄弟も愛人も誰一人としていない


「ざまあみろ!!俺は死ぬぜ!!嬉しいわ!

 お前からのそのうざったしいメールも一生見なくて済むからな!!!」


ゴクッ…


コップに入れた洗剤を一気にあおる。最期に感じる味がこんなのかよ…


   ♬ピコン


意識が遠のく中、聞き慣れた音がする。

   

   バタッ……


『私も嬉しいわ。あなたがこちら側に来てくれて。ちゃんと呪ってて良かった。』


   ♬ピコン


――メッセージが編集されました。


『遘√b螫峨@縺?o縲ゅ≠縺ェ縺溘′縺薙■繧牙?縺ォ譚・縺ヲ縺上l縺ヲ縲ゅ■繧?s縺ィ蜻ェ縺」縺ヲ縺ヲ濶ッ縺九▲縺溘?』

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終焉のためのハッピーエンド ゆ〜 @WGS所属 @MainitiNichiyo-bi

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