誰も彼もが、罪を背負いながら生きていかねばならない

現代に生きる人々の姿を、鋭い視点で切り取った短編連作です。

社会の不条理の犠牲となった友人へわだかまる思い。
スクールカーストのそれぞれの位置からの景色。
あらゆる困難にぶつかりながらもどうにか生きてきた男に訪れた悲劇。
皆と同じ方向へは流れることができない少年の葛藤——

現代人の多くが大なり小なり抱える「生きづらさ」が、我慢して呑み込んで腹に溜めてしまう「生きづらさ」が、ここまで鮮やかに言語化されるとは。
明確な解決方法なんてない、それでも抱えて生きていかねばならない行き場のない想いが巧みに描き出されており、どのエピソードも言いようのない息苦しさを感じました。

淡々とした筆致が、彼ら彼女らの人生の背景を彷彿させます。
もしかしたら、登場人物の誰かはあなたに似た人かもしれません。
素晴らしい作品です。ぜひご一読ください。