『ざまぁ』はどこまで許される？

他人を悪役に仕立て、残酷な仕打ちをする事で爽快感を得る「ざまぁ」な物語。
しかしそれを客観的に見ると、本作品の阿野妻のような立場に立っている事を、果たしてどれだけの人が理解しているのだろうか。

人にはそれぞれ立場という物があります。他人が築いてきた人生を、自分の憂さ晴らしで壊す事が許されるわけがありません。

「所詮は創作」「作り話に何をムキになってんの？」なんて言ってるあなたも考えてみてください。
何かの偶然で、たまたま見つけたざまぁ作品の、ざまぁされる側の人間がもし……

――あなたと同姓同名だったら――

それでもあなたはその作品を、「ざまぁ」を、楽しめますか？

まともな社会秩序が機能していたらあり得ないような極端な「ざまぁ」作品が溢れる昨今。
「ざまぁって要は単なる私刑だよね？」という素朴な疑問が詰まった短編です。
勢いで一気に読めるので、ありきたりなテンプレ作品に飽きた時にでもぜひ。

ただし、流血表現が苦手な方はお控えください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（204文字）

本作品には、復讐という人間の原始的な衝動が、文明社会の枠を越えて暴走する様が描かれている。

復讐の是非を問うだけでなく、人間性とは何か、正義とは何かを深く問い直させる。

物語の中で繰り広げられる残酷な行為は、読者に強烈な衝撃を与えるが、それは同時に、私たちが日常忘れがちな、人間の内面に潜む暗黒面を照らし出す光でもある。

復讐の連鎖が暴く、人間の深淵を見せつけられた時、読者は、復讐の果てに何があるのか、その答えを求めて、自らの心の闇と向き合うことを余儀なくされるだろう。

「ざまぁ」「NTR」といった携帯小説では最近人気のジャンルを逆手にとり、「ざまぁ」した側を追い詰めていくという、ざまぁ返しといったような内容。。。なのですが、まあ、あまり話すとネタバレになっちゃいますねw

とにかく発想が面白いです。
アイデアを作品として形にする、メッセージ性のようなものも感じること出来ました。

短い作品なので是非一読を。