穴あけパンチでくりぬかれた紙屑って、なんて名称なんでしょう?

穴あけパンチでくりぬかれた「丸」は不思議な存在です。生み出される前から不用品というレッテルを貼られています。だって、必要なのは、たいてい、穴のほうなんですから。それなのに、ときにパンチに備え付けの半透明ボックスに大事にためられていったりします。その「丸」が増えていくのが密かに嬉しくて、絶対捨てられないのは、私だけではないですよね?

似たような紙屑生成装置にシュレッダーがあります。あの紙屑もまた手を埋めるには気持ちよいものです。でも、シュレッダーにかけられる紙が強すぎる存在意義のために処分されるのに対し、穴あけパンチで穴を開けられる箇所は誰にも何も影響を及ぼさない真っ白な紙です。穴あけパンチでくりぬかれたその真っ白な紙に、くりぬいた人の歩みを透かして見るという感性に引き付けられました。

彼氏からプロポーズされた女性が戸惑い、不安に駆られ、思わず家を飛び出したあと、さまよい歩く町で見つけた出会いにより、少しだけ前向きな気持ちがわいてくる。そんな穏やかで柔らかな話なのですが、不思議な博物館に展示されていた穴あけパンチでくりぬかれた紙の展示に、少しだけ狂気をひそませた哀しみを感じます。