最終話 僕とあなた

「ただいま」


『お帰りなさいだねえ』

「何故?」


 突然の別れから、二年。


 ネエネエと魔女の言葉は対照的だ。


 アカゴは、破顔。


「お土産を。母上の薬草茶に、国王陛下お祖父様からは……」

 小さな背嚢はいのうには、たくさんの品。

 背嚢の中に亜空間を形成し、多くの品を入れてきたのだ。恐らく、重量も変えていたのだろう。


『空間魔法や重量魔法が使えるとは、すごいのねえ』

。僕は、世界で一番素敵な魔女様の弟子だから」


「いや、あれは……言葉のあやで、しかも、アカゴ、は呼び名だ!」

『本人が名前と認識したら、それは魔女様からの贈り物だねえ』


「あなたのいるところが、僕のいるところです。魔女様がここを離れる時は、一緒に参ります」

「いや、それはならぬ! この森には魔女が、魔術師が必要ぞ!」

「大丈夫です、これから修業をして、必ず転移の魔法を習得いたしますから」


「そんな魔法……」

「ございます」『あるねえ』


「魔女様、僕を弟子にして下さい。そして、僕が一人前になれたら、僕を、恋愛対象として、見て下さい」


「私は、211歳だぞ? 魔女や魔術師でも、せいぜい半分の年齢差でないと、非常識だ!」

「知っております。僕は今、10歳。もう自分の道を選べる年齢です! これから190年かけて修業をいたします。そうしましたら」

『401歳と200歳なら、半分と言って差し支えないですねえ』


「……」

 魔女がどう言い返そうかと考えていると。


「あなたのいるところが、僕の居場所です。魔女様あなたを、お慕いしております」


 二年前よりも、思いを込めた言葉。

 真剣なことが、魔女にも伝わる。


 ……仕方ない。


「アカゴ、とやら。弟子に相応しいところ、見せてみよ!」


「はい!」


『良い雰囲気ですねえ』


 ねええー。


 魔羊ネエネエも、一鳴き。


 魔女の森は、今日も、平和。


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【カクヨムコン9】あなたのそばに、僕を。 豆ははこ @mahako

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