第7話.成 約 ~進捗〈しんちょく〉 芳〈かんば〉しくなくとも Avance〈前進〉~
成 約
《
対応を
質朴ながら
「――…シナに効果あるもの、なにかある?」
「手段があるかもわからないが、君が(この部屋に)来る前に交渉は成立している」
そくざになされた解答に、乳白色の肌を備えた少年。アレンは、となりに座っている女性をちらと目のはしに見てから正面にいる交渉相手を正視した。
「いくら、かかる?」
「さて――なにが必要となるか、どれだけ時間を
明確なことも言えないし…――必要なおりに協力してくれれば、それでいいよ」
「必要な、って……?」
「そうだね…。我々が頼った時、またはうちの者を見かけたさい、こちらが関わっている仕事の情報を持っていたら、その提供と……可能な範囲の協力を」
「そんなんでいいのか?」
「うん。予後の滞在も、どこに落ちつくか所在の強制もしないから、場合によってはそれっきりということにもなり
「すっごく金とるって聞いたけど……。ほんとに
「
うちの者が関わる事象は、時にかなりの危険を
必要とあらば、こちらから働きかけること、
我々と関わることで余波も
条件に気になる部分があるのだろう、取引の対象であるシナのおもてに微妙な動きが見えた。
無表情のようでもあるその澄んだエメラルド色の瞳が、ごくわずかに細くなる。
それに対し、《家》の側として、後のとりまとめを
ロイスアドラーことアロウィース……
愛想がないわけではないが、おもねることは、けっしてしない。
「だが…――。
ふたりにも話したが、これは前例があるかもわからない事例だ。
成果・結果の
《家》は、不必要な延命は
このような症例であれば、今後の
手厚いようでも、冷めてるようでもある…――
かすかな笑みをとり混ぜながら、言い渡されたその言葉の意味するところに、アレンは言いよどんだ。
「不必要……けんさん? って…」
交渉を進める上で、先方の立場を主張しただけなのだろうが、それは警告ともとれるもの。
「
それが技術発展の原動力でもあるが…――わけあって
それも過剰・不要と判断すれば、手を貸すことはしない――…そうだな。
極端な例をあげるなら、不老長寿、延命、若返り、肉体・体質改造、しつけ、性格
はじめの一例をのぞけば、例がないわけではないが、あくまでも我々の専門・対象は、妖威や魔神、亜人、
言わせてもらえば、それ以外は、それを望んだ
むろん、良識の範囲内でね。
なにかに頼らなければ解決しないような案件であったとしても、我々が関与する事柄ではない」
どこまでも感情抜き・仕事の一貫に過ぎないことを言われて面喰らいながらも、アレンはここぞと意を決して望みを告げた。
「治療……お願いする――オレからも…。シナを治してくれるなら……」
多少、出鼻をくじかれた感覚はあっても、迷いはなかった。
過去に追いかけていた者を見いだす前は、それが目的で、ここを目指したのだし、頼みの綱だったそれに振られてしまった以上、いまは他に
「成果を確約はできないよ。くり返すようだが、保障まではできない――
触ることで悪化する可能性がないわけでもない――覚悟はしておいて欲しい。
そこで……。さっそくなんだが、ひとつ、ふたつ……」
確実性の
可能であれば応じるしかない受け身のアレンが、渋い顔をする。
「だんだん要求が、多くなっていくな……」
性分もあったけれども、自分たちの要望に対する相手の対応が微妙につれなかっただけに——。
そうありがちなものと頭で理解はしても、彼としては、それと
「いや、情報提供の
「彼? ……誰のこと?」
「君がセレスと呼んでいる人物。または、うちの門下生のことだ」
「んー……話せる事なんて、あいつのことは、だいたい話したと思うけど」
「不明は不明としても、情報を整理して理解したい。
どうやら、それと根ざす者は、その彼だけではないようだし……。
おなじ内容になるのだとしても、
《法の家》の家長の一人息子、アロウィースは、その腹の底にくすぶる生来の好奇心を
——【神鎮め2/和玉①】 了です。おつき合い下さり、ありがとうございました――
神鎮め2 〈間 章〉 和玉 ~にぎたま~① ぼんびゅくすもりー @Bom_mori
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