第5話 財団
病院へ向かう途中でこの島のことについて色々思い出してた。
この島の管理者だが【DI財団】という財団だ。
そこがメインで行っている。
どういう組織なのかは俺もよく分からないがとにかくそういう財団が管理していて、俺の父親がそこの割とお偉いさんなのだ。
だから俺が動く時は監視カメラが停止させられる。
なので俺は好き勝手に動き回れるというわけである。
つまり俺の行動は管理者公認の行動ということになる。
俺はその財団が管理している病院に合格発表の翌日にやってきていた。
俺の体だが普通の体では無い。
通常の人間の体のコアは一つなのだが、俺の体には後発的に埋め込んだせいで5個ある。
そのため通常では考えられないような能力を使えるし、有り得ない量の魔力を使うことが出来る。
正直言って割と特殊な状態にあるのが俺だ。
だから定期的な検診というのは欠かせないものになっている。
メディカルチェックを担当するのも勿論財団の者だ。
俺はその人と話をしていた。
体調についてまずは質問されることになった。
「なにか変わった様子は?」
「特には」
俺は原作を読んでいるので知っているが乃亜の体には異常が出ない。
こいつは主人公以上にぶっとんだ肉体スペックの持ち主であったからだ。
「へぇ、ほんとに乃亜くんには驚かされるね。普通コアを2つ埋め込んだ時点で拒絶反応が起きるくらいなんだけど、それが5つって」
ダンジョン黎明期の話だがモンスターから入手したコアを移植するという人体実験が行われていた。
これは
『人体にあるコアの数が増えたら倍倍ゲームで強くなるんじゃね?』っていう発想で行われた実験だ。
しかし、後遺症が出たりして危険すぎたため、現在では違法になっており行われていない。
俺のは違法になる前のものである。
「ま、何かあったら言ってよ?乃亜くん。君は財団にとって大事な人員だからさ」
「はい」
ぶっちゃけ言うと俺が5つのコアの適合に成功したのがあって俺の父さんはこの財団で偉くなれたというのはある。
ちなみにだがこの実験だが乃亜が進んで受けたものだった。
危険だと言われていたが乃亜は強さを追い求めた。
その結果5個の適合に成功したのだ。
そして、その成功は隠されていた。
そんな設定を思い出しつつ診察室を出た。
すると、同類に出会った。
「やぁ、霧崎」
そこに立っていたのは東雲 花蓮という赤髪の女。
俺と同じく財団に所属している裏の人間である。
「メディカルチェックか?」
聞くと東雲は頷いていた。
「当たり前。私は一応ダブルだからなぁ。調整剤飲まないと死んじまうよ」
こいつは【ダブルコア】と呼ばれるコアを2つ持った人間だ。
そう言ってから東雲は続けた。
「ところで、お前あれには参加するんだよな??」
「あれ?」
「ほら、【解放】」
解放とはダンジョンからいっせいにモンスターが飛び出してくるイベントのことだ。
これは定期的に起きている。
そして、アイランド中の人間が協力して島を守るというイベントになっている。
(そういえば入学前にも1回あったって話だったな)
そんなことを思い出してた。
すると東雲は俺の肩に手を置いて俺の横を通った。
「ぷっ、8組のお前には関係の無い話しか」
ピキっ。
軽い煽りだと思ってもちょっとイラッとしてしまった。
ちなみに俺もこいつじゃなけりゃ殴り飛ばしているところだ。
「おい、東雲」
「あん?」
振り返ってきた。
「次馬鹿にしたように8組と言ってみろ?消す。今までは許されていたかもしれんがこれからは許さん」
「なんか分からんがすまんかった」
「いいよ」
東雲は診察室に入ってった。
あいつはたしか俺が【ファイブコア】というのを知らなかったはずだ。
だからあんなことを言った。
まぁ知らずに言った事だし今回は許してやろうと思う。
そうして俺は次の目的地に向かって歩いていくことにした。
これからとある隠し部屋に行くんだが、俺は原作知識で隠し部屋の出し方も場所も知っている。
ちなみに、同じ病院内にある。
【立ち入り禁止。従業員専用】
と書かれた扉の前に立つと俺は躊躇なく開けて中に入る。
すると一瞬中にいた人達が慌てたように俺を見てきた。
しかし、それも一瞬の事だった。
「こんにちは。乃亜さま」
「乃亜様が来たぞ。だれか案内を」
そう言ってきた従業員に俺は手を挙げた。
「いや、構わないよ。自分で行くから」
俺は従業員たちの間を抜けていく。
そして、ひとつの本棚の前に立った。
【霧崎 乃亜専用】
と書かれたフォルダを取り出した。
その奥にはスイッチがある。
ポチッ。
押すと本棚は内向きに開いた。
隠し扉である。
その先には螺旋階段が続いてる。
黒幕系はこんなところにも入っちゃうわけだ。
カツン。
カツン。
螺旋階段を降りていくとやがてひとつの扉が目に入る。
【DI財団 機密会議室】
とワクワクするようなことが書かれた扉である。
俺はそれを開けて中に入った。
中には円形のテーブルが置かれておりそのテーブルを囲むように椅子が置かれている。
それからこの部屋の扉から最も遠い位置には霧崎 瑛太がいた。俺の父親である。
「乃亜、急な呼び出しだったけどよくきてくれたね」
「問題ないよ」
そう言うと俺は部屋にあった椅子に座った。
そのとき、机に光が点った。
電子パネルというやつだった。
「解放について話をしたいと思っていてね、乃亜。お前がこの島に来たのは少し前。解放のことも知らないだろうし」
「うん」
答えると父さんは聞いてきた。
「乃亜、昨日の活躍を考えて話したい。次の解放の作戦には出て欲しいんだ。正体を隠して」
俺が頷いた時だった。
一人の男が口を開いた。
「霧崎 乃亜ねぇ」
目を向けた。
そこにいたのは一人の男だった。
「あー、俺は黒田ってもんだ」
そう言って立ち上がった。
俺の方に歩いてくる。
「霧崎が南のアイランドを担当しているなら俺は北のアイランドを担当してる」
財団も一枚岩というやつではない。
霧崎だけがアイランド全体を管理しているわけではない。
いろいろな派閥があって、考えも衝突しあったりしている。
原作で一番デカかった派閥が霧崎一派と黒田一派だった。
そしてこの先黒田は俺たちに頻繁に突っかかってくることになる人間。
(黒田
二つのコアを身体に宿すダブルコアの人間だ。
原作ではそこそこの強さとして描かれていた。
だがまぁ、乃亜と比べれば月とすっぽんみたいなレベルだが。
「本題は?」
促すと黒田は言った。
「お前引っ込んでていいぜ。霧崎 乃亜」
「は?」
「雑魚は引っ込んでろって言ってんの。雑魚が作戦の足引っ張ってもいやだしな?」
俺は黒田の首を掴んだ。
「雑魚?」
黒田の体を持ち上げる。
足が地面から浮いた。
「ぐぎっ……ぐぎぎ……」
黒田はキツそうだ。
「てめ……」
ガッ!
【アイスソード】
黒田の手に氷の剣が現れた。
それを俺の手に向かって振り下ろしてきたが。
壊れたのは氷の剣の方。
「はっ……?」
黒田の顔に驚愕の表情が浮かんだ。
ニヤリと笑って俺は黒田を投げ飛ばした。
「かはっ」
壁に叩きつけられた黒田。
そのままズルズルと尻もちをついた。
「けほっけほっ」
黒田に近付いた。
「雑魚はお前だよ。付け上がるなよダブルコアごときが」
【即死チート】持ちの黒幕系親友に転生した俺、うっかりやりすぎてしまった結果主人公がストーリーから消えてしまった模様 にこん @nicon
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