地球防衛隊の秘密 【カクヨムWeb小説短編賞2024応募作品】

愛田 猛

地球防衛隊の秘密 

カクヨムWeb短編賞2024 応募作品 テーマ「秘密」


地球防衛隊の葉隊員は疲れていた。

もう、この秘密を抱えたまま仕事を続けることは無理だ。


思い余って、同僚の井田に相談することにした。

井田は気のいい独身男性で、技術開発を得意としている。



葉山は、清水の舞台から飛び降りるように勇気をふり絞って、井田に伝えた。

「井田、聞いてくれ。実は、僕が光の巨人なんだ。だが、エネルギーが限界だ。もう、光の星に帰らなければならない。」「


井田の反応は、意外なものだった。


「なんだ、そんなことか。そんなもん、みんな知ってるよ。」

井田は笑った。


「え?どういうことだ?」

戸惑う葉山。


「光の巨人が出るとき、いつもお前は姿を消している。気づかないほうがおかしいだろう?それに、最近は体にキレがない。体力の限界なんだろうと、キャップも心配していたよ。地球のことは俺たちに任せて、お前は帰ってゆっくりしろよ。」


葉山は安心し、思わずこんな言葉が出てしまった。

「なんだ、僕の秘密なんて、井田が食堂のおばちゃんと不倫してるってくらい、みんな知ってることだったんだな。」


それには井田が慌てた。

「おいちょっと待てよ。それこそ秘密だぞ。なんでお前が知ってる?まさか、ほかに知っているやつがいるのか?」


「それこそ、防衛隊のみんなが知ってるぞ。なんたっておばちゃん自身が自慢してたからな。たまには若い男もいいって。」


井田は頭を抱えた。

「何だって? 旦那に知られたら、地球の危機だよ…」


食堂のおばちゃんの旦那は、地球防衛隊基地の守衛をやっている。真面目で気のいい中年男性だ。


「お前は大げさだなあ。まあ、揉め事には巻き込まれるかも知らんけどな。」

葉山は慰めにもならないようなことを言ってみた。


そこへ、防衛隊一の力持ちの隊員、荒田が現れた。

「ようご両人。どうした? 葉山は疲れた顔だし、この色男が頭をかかえてるし。」


「実は、井田のやつ、不倫が旦那にバレルと地球の危機だと言ってるんだ。大げさだろ?

葉山は説明した。


荒田は笑った。

「まあ、井田の心配もあながち的外れでは無いな。あの守衛の旦那、実はブラ星人が変身しているんだよ。おばちゃんもそれを知ってる。ま、葉山は光の巨人だし、それを伝えると問題になりそうだから黙ってたんだけどな。」


葉山は仰天した。

「そんな秘密、すぐに対応しないとまずいだろ!でも今の僕は無理だ。どうしよう…。」


荒田は葉山の肩をぽんと叩いて告げる。


「安心しろ。あのブラ星人、地球に、偵察と情報収集しに来たんだけどな、完全に地球が気に入っちまって、侵略させないように本星に情報操作してるんだよ。」「


なんだそれは。早田はわけがわからない。


荒田は続ける。


「それにな、奥さんが井田と不倫してるのを知って、『これが有名なNTRか!

もっと地球の文化を知りたい!!』とか言って興奮してたしな。あと100年くらいは大丈夫そうだよ。キャップもそういう意見だよ。」


荒田のことはさておき、キャップまでそう言うなら、多分大丈夫だろう。

だが葉山はまだ納得できない。


「でも、なんでブラ星人が居て平気なんだ?」

葉山は疑問に思い、荒田に聞いてみた。


荒田はこともなげに言う。

「そりゃあな、光の巨人だって地球防衛隊にいるんだから、宇宙人が一人くらい居てもいいじゃないか。」


「そうだな。わっはっは。」

三人は笑う。


地球は今日も平和だった。



=====

締め切り過ぎていると思ったのですが、実はそうじゃなかった。

地球の平和は今日も守られた。


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