都市伝説がデスゲームとなって人類を殺しに来る!

 都市伝説や怪談は、本来、実体を持たない曖昧なもの。しかしこの作品では、そこに厳密なルールを加えて話の内容を具体化することで、『都市伝説』が実際に人を害するだけの強制力を持つという特殊な設定が導入されている。

 そうなるとどうなるのか? 起こってしまうのだ、「きさらぎ駅」に集められた人たちによるデスゲームが……!

 「きさらぎ駅」や「こっくりさん」、「The Backrooms」という古今東西の有名な都市伝説に新ルールが追加され、殺意マシマシなデスゲームを強制してくるという時点で面白いのだが、重要なのはこれが「ゲーム」であり「ルール」があるということ。つまり探せば「攻略法」が存在するのだ……!

 そう、本作で描かれるのはデスゲームと化した都市伝説と人間の知恵比べ。ゲームのルールはちゃんと最初に提示されるし、文中のわずかな手がかりを見逃さなければ登場人物だけでなく、読者にもゲームの答えが見つけられる内容に仕上がっている。

 ホラー好きにはもちろん、ロジカルに謎を解いていくのが好きなミステリーファンにもぜひ読んでもらいたい。


(「越境する恐怖……」4選/文=柿崎憲)