掌の中の五十円玉―心を結ぶ静かな祈り
- ★★★ Excellent!!!
古の因果が現代の琵琶湖畔へと繋がり、烏兎の静かな祈りが神へと届く――そんな幻想的な世界観に引き込まれました。伝説と現実が交差する物語の展開は、まるで時の流れが溶け合うようで、心にじんわりと響いてきます。
特に第10話の烏兎の祈りの場面は、純粋な想いが伝わる美しいシーンでした。五円玉を探しながらも、結局「気持ちがこもっていれば十分」と思う姿に、彼の素朴でひたむきな性格が垣間見えます。鈴の音が響くなか、望との関係を修復したいと願う彼の切実な想いには、読んでいるこちらまで胸が熱くなりました。
過去の因縁を背負いながらも、それでも未来を切り開こうとする姿は、静かでありながら力強い。烏兎が辿る道の先に、どんな奇跡が待っているのか、続きを読むのが楽しみです。