日本神話をベースとしていて、しっとりとした文章に切ない恋愛描写が胸を打つ御作品です。
作者様の言葉選び、感性が本当に繊細で、情景描写が特に素敵だなと感じました。
私自身は滋賀県の白髭神社を訪れたことがないのですが、主人公の烏兎君を通して、実際に目にしているかのような色鮮やかさがありました。
朝の清々しい空気感だったり、琵琶湖の近くを自転車で通る際の風を切る音、水の匂い、鳥居の朱色――まるで目に浮かぶようです。
そんな美しい情景描写と共に描かれる登場人物達は真っ直ぐとした心根が美しく、透明感があります。
だからこそ、彼等が悩み悲しむ場面は心がより揺さぶられ、祈るような愛おしさを覚えることでしょう。
そんな彼等の運命は、今後どうなっていくのか。
これからがとても楽しみな御作品です。
この物語は、愛を知るゆえにみ大きな罪を背負ってしまった二人の神使の悲しい物語から始まります。
これ以上の辛い罰が、あるのだろうか?
そんないたたまれない気持ちの中で進んでいく物語は、逆にほのぼのとした青春物語。
だけど優しさに溢れる男の子、鳥兎くんのキラキラした青春に見え隠れし始める彼の素性には、どうやら色々とあるみたいですね。
彼にしか視えていない魄霊という存在、そしてそれを滅する言霊の力。そして……彼が失くしている幼い日々の記憶。
とてもワクワクするファンタジー要素満載の展開が繰り広げられていきますが、それがどのように冒頭の悲しすぎる物語に繋がってゆくのか?今後の展開に目が離せない、おすすめの物語です。
異世界恋愛なんですが、ファンタジー色の強い異世界恋愛になります。この表現が正しいかどうかはわかりませんが、恋愛としては、ちょっと重めな、でも純粋で透き通った感じの恋愛小説です。
前作もそうなんですが、みゆきさんの書く物語の大きな特徴というか、ウリは透明感のあるキャラクターでして、なんというか、外連味のない、本当に心に直接語り掛けてくるようなキャラ造詣でして、上手く表現できないですが、自分の目の前で繰り広げられてるかのような伝達力をもった親しみがあるけどメッセージ性が強いキャラ造詣なのです。
実は、今回、カクヨムコン9に恋愛小説を書かせていただいたのですが、本作も参考にさせていただいた小説の一つです。純愛系のお話がすきな人にはおすすめな小説です!