君の面影

パ・ラー・アブラハティ

いつまでどこまでも。

 世界は君の面影で溢れている。あのちっぽけな公園も、廃れかけた商店街も、母校にも全て君の面影がそっと宿っている。


 どこを探してもいないはずの君がこの街にいるとすぐそこにいるような気がする。でも、君の面影を近くに感じてるはずなのに、私の心は軽くなんてならなくてズシッと重たくなる。


 これはきっと、そう。現実から目を背けているせいなんだと思う。君がこの世界のどこにもいないなんていうことはわかっているくせに、わからないふりをして目を塞いでしまっているから私はずっとこの気持ちを抱えているのだろう。捨てようと決心したことは何回もあるけど、捨てる曜日が決まった粗大ゴミじゃないから捨てるタイミングが分からなくてうじうじと熟らせてしまっている。


 早く手放させたらこの気持ちはどんだけ楽になるのだろうか。君がいる空にでも簡単に飛べてしまう程に軽くなってくれるのか。捨てることが出来ないから答えは分からないけれど、もしそうなら少しは決心がつきそうな気もする。


 いや、どうだろうな。そんなことで決心が少しでもつくのなら、とうの昔に私の心は軽くなっているはずだろうな。


 結局私はずっとこれから先も、未来永劫君の面影を探して、この世界を、このちっぽけな狭い空間を漂っていることだろう。

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君の面影 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482

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