第28話 いつも分かりにくい優しさ
ツリーがキラキラしていて、皆の手元もキラキラ。
なんだかとってもロマンチック。
風情があって良い感じ。
目の前の光景にうっとりしていると、ご主人さまが私の頭をなでなで。
これは、ーー新手の嫌がらせ?
「なんで、そこで不思議そうにする」
いえ、だって、ご主人様って基本的にはドエスじゃないですか。
たまに優しくされると、つい何か良くない悪戯の前触れかなと。
そんな事を思っていたのがバレバレだったみたいです。
私の顔色を読んでいたご主人様がほっぺをつなってきました。
「い、いひゃいれすぅ」
「まったく、ひねくれ駄メイドめ。せっかく褒美を用意してやろうと思ったのに」
「えっ褒美ですか」
それは嬉しいですけど。
私、毎日けっこうドジしてますから、素直に受け取るには抵抗が。
「祭りの参加者の顔を見て見ろ」
ご主人様に促された私は、周囲で楽しんでいる人達の顔を見ます。
みんなとても楽しそう。
大人も子供も、お年寄りさんも。
満面の笑顔でお祭りを楽しんでいます。
「あいつらの表情に価値がないとでも言うのか?」
私は首をふって、否定します。
「なら、それを侮辱しないためにも素直に受け取っておくんだな」
「分かりました」
そういう事なら、仕方ありません。
なにかくれるというのなら、どんと構えておくとします。
選べるなら、最近ちょっとすりへってきた靴が欲しかったり……ごにょごにょ。
何と言うか、ご主人様の優しさって、分かりにくいですよね。
素直になれはこっちのセリフでもありますよ。
もうちょっと、普通に伝えたい事いってくれれば良いのに。
「暗くなるから、はぐれるなよ」
私はご主人様と手を繋いで歩きながら、そのままお屋敷に帰りました。
異世界にいったらメイドになって、イケメンだけどドエスで陰険なご主人様に仕える事になりました。でも時々優しいです!改 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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