不朽の愛と記憶の物語、妖怪と人間の切ない絆を描く。

本作は、鬼神と人間の女性の叶わぬ恋を描いた恋物語である。人間の儚さと、永遠に生きる者の孤独が美しく描かれている。

主人公の女性は、自らの死期を悟り、最愛の夫である鬼神に、自分の死にゆく姿ではなく、二人が出会った時の美しい姿を永遠に愛して欲しいと願う。それは彼女なりの、夫への最後の愛の表現であった。

一方、夫は妻を失った悲しみから逃れるため、仕方なく彼女の思い出を消すが、その行為は彼の愛ゆえであり、妻への想いの深さを物語っている。

しかし、運命の悪戯により、彼女との初恋の思い出が蘇り、夫は再び恋に落ちる。

これは永遠に続く恋の始まりであり、人間の女性の仕掛けた、永遠の恋のトリックなのだ。

人間の儚さ故の、最愛の人への切ない想いと、永遠に思い出され愛される願望が胸を打つ。

二人の悲恋は、人間と妖怪という種の違いを超えた普遍的な愛の物語であり、読む者の心を揺さぶる。

妖艶にして儚い、人間の女の恋の技巧に脱帽せざるを得ない。