夕日の中の前触れの君

あの日の事を覚えてる。
幼少の頃から遊んでいた彼女と、かけっこした日々を。
だけど僕は覚えていない。
僕は小さな頃から一緒に遊んでいたはずのあいつの顔が思い出せない。
決して追いつけない彼女の顔を。

中学生の「僕」は、高校受験を目前に控えたある日、夕暮れの帰路を歩いていた。
「ねぇ、かけっこしようよ」
そこに、再び彼女が現れる。
久方ぶりの勝負を受けて立つ僕だったが―――…
　
　
※カクヨム短編賞創作フェス　第一回テーマ「スタート」に参加の作品です