憎しみは簡単には消えない。だけど……

商業作品にさえライトでポップな【奴隷を買ってチートなハーレムライフ】みたいなものが存在する現代において、奴隷をテーマに描いているこの作品はしっかりと重い物語です。

奴隷をライトでポップなものとして描くにせよ、人類の歴史が背負っている奴隷という業に向き合わないままそのように描くというのは、人類のその業を軽んじ冒涜しているように私は感じております。

この【奴隷と女と女たち】という作品は、奴隷というテーマを扱うに際して、行き場のない怒りと憎しみを描き、癒えない苦しみを描き、それでもなお生きていこうとする人の強さを讃えています。しっかりと、重く、暗く。

この作品は「また、奴隷を軽いアイコン扱いしてる作品だろうか」と読み始めた私をグイグイ引き込んでくれました。

そして、しっかりとした読み応えと、救いがそこにありました。

とてもいい作品です。是非ご一読ください。