1月3日 15時7分
全て終わり、身体の自由が戻った。
神社の石段に座り、運動会を思い出す。
ただあれは、運動会と言うより、神様による格闘大会だったように思う。
羽根つき。羽子板から衝撃波が出ていた。
相撲。地面が割れた。
500メートル走。妨害のために魔法が多用された。
エトセトラ、エトセトラ。
よく生き延びたな、私。
「進行役、お疲れ様でした」
伸びをしていると、前方に巨大な狐が現れた。
コイツが、ルヴァくん似の声の主らしい。
「無事成功です。ですので報酬を」
狐が小さく鳴くと、鳥居の方から男性が歩いてきた。
「君が僕を求める子か」
「ルヴァくん!」
その仕草、不敵な笑み。
間違いなくルヴァくんだ。どんな仕組みで2次元の推しがここにいるんだろう。
アニメで見たままの姿から3Dになって、その3Dが最近の技術によって本物のようになったような感じ。
多分考えてもよく分からない。不思議パワーの賜物なんだろう。
「君が求め続けるなら、僕も求めよう。傍にいてくれ」
「よろ――」
返答しようとした瞬間、けたたましいチェンソーの音が神社に響く。
音のする方には、あっきーが立っていた。
「あ、あっきー?」
私の近くまでやってくると、チェンソーのエンジンを止める。
「アキちゃんに触るな。現れるな。消えろ」
なんであっきー、怒ってるの?
「君はこの子の何?」
険悪なムードが漂う。
「俺はアキちゃんの好きな人だ」
「へえ。だから?」
見下すような、冷たい視線。3話の登場シーンと同じだ。
「アキちゃんが愛する相手は俺だけでいい。他は消し去る」
「あっきー、それって」
「彼女は僕をこの世界に召喚した。彼女のためにも消えるわけにはいかないね」
心臓の音がうるさい。
それはとんでもない新年の始まりだった。
位置について! 獅子倉八鹿 @yashika-shishikura
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